15:30 〜 17:00
[O08-P78] 流星の分光観測による群毎の含有する元素の特定
こんにちは,私達は,宮城県古川黎明高等学校自然科学部天文班です。
はじめに,本研究は,流星をデジタル一眼レフカメラで撮影した際に,流星の色が途中で変化していることに気づいたことから研究が始まりました。2014年から研究を開始し,現在8年目になります。
目的は,「流星の分光画像の輝線の位置から,発光に関する元素の種類を推測する」「それぞれの流星群によって,含まれる元素にどのような特徴があるのか調べる」の2点です。
続いて、観測方法についてです。観測方法は,まず,ブレーズド回折格子を用いて自作した回折格子をデジタル一眼レフカメラに取り付けます。次に,流星群の活動時期に,回折格子の向きなどに注意してカメラを設置し撮影を行います。
続いて,解析方法についてです。
従来の解析方法は,まず,波長がわかっている元素の光を,画像上の流星と同じ位置に入射させて撮影し,回折格子のスケールを求めます。続いて,画像上の輝線の間隔から各輝線の波長を求めます。最後に発光に由来する元素を推測します。
続いて,歪みの関係式を用いる方法です。まず,ディストーションチャートから,曲線の式を算出します。続いて,画面の中心から輝線までの距離を計測し,曲線の式に当てはめ,正しい波長の値を算出します。最後に,発光に由来する元素を推測します。
現在は従来の方法で解析をおこなっていますが,将来的にはこの方法を用いて解析作業をより簡単に行いたいと考えています。
最後に,流星群毎の含有元素の傾向調査についてです。まず,過去に撮影した流星の分光画像を流星群毎に集めます。次に,歪み補正式を利用して,それらの波長を求めます。そして,含まれる元素を特定します。最後に,結果を表にまとめ,流星群毎の傾向を考察します。
結果についてです。これまでに約507400枚の写真を撮り,65枚の流星の写真が撮れました。
考察は,
「ふたご群において最も多くの流星を撮影できた」「ふたご群以外においては,かなりの割合で酸素禁制線発光が確認できた。これにより,ふたご群は他の流星群に比べて,対地速度が小さいと考えられる」「Na I は全ての群で,ふたご群を除いて多くの割合で確認できた。ふたご群で少ない理由は,Naの生成からの経過時間が長い,母天体に含まれるNaが少ないなどが考えられている」「全体の傾向として,Na,Mgの輝線は多くの割合で確認できたが,Ca, Fe, O, Si, Nの輝線はあまり確認されなかった」「Na,Mgは,多くの流星で安定して含まれている」「Ca~Nは,強度が小さく,含まれてはいるが分光されない」「これまで一定数確認できていた酸素禁制線発光は見られなかった」「輝線の強度に関わらず,全ての流星からMgIが,殆どの流星からNaI,MgIIが確認できた」「これまで一定数確認できていた酸素禁制線発光は見られなかった」
などが考えられました。
課題・展望です。
「ディストーションチャートの関係式を用いた解析方法を確立させ,実際に導入する」「流星群の観測と多地点同時観測を継続し,群毎の元素の傾向や,高度と酸素禁制線発光の関係を明確にする」「特にふたご群での流星の輝線をさらに細かく調べる」「輝線の強度や含まれる元素を基準とするなどして,各流星群にどういった傾向があるのかを別の角度から調べる」
などが挙げられました。
参考文献は以下の通りです。
謝辞は以下の通りです。
ご清聴ありがとうございました。
はじめに,本研究は,流星をデジタル一眼レフカメラで撮影した際に,流星の色が途中で変化していることに気づいたことから研究が始まりました。2014年から研究を開始し,現在8年目になります。
目的は,「流星の分光画像の輝線の位置から,発光に関する元素の種類を推測する」「それぞれの流星群によって,含まれる元素にどのような特徴があるのか調べる」の2点です。
続いて、観測方法についてです。観測方法は,まず,ブレーズド回折格子を用いて自作した回折格子をデジタル一眼レフカメラに取り付けます。次に,流星群の活動時期に,回折格子の向きなどに注意してカメラを設置し撮影を行います。
続いて,解析方法についてです。
従来の解析方法は,まず,波長がわかっている元素の光を,画像上の流星と同じ位置に入射させて撮影し,回折格子のスケールを求めます。続いて,画像上の輝線の間隔から各輝線の波長を求めます。最後に発光に由来する元素を推測します。
続いて,歪みの関係式を用いる方法です。まず,ディストーションチャートから,曲線の式を算出します。続いて,画面の中心から輝線までの距離を計測し,曲線の式に当てはめ,正しい波長の値を算出します。最後に,発光に由来する元素を推測します。
現在は従来の方法で解析をおこなっていますが,将来的にはこの方法を用いて解析作業をより簡単に行いたいと考えています。
最後に,流星群毎の含有元素の傾向調査についてです。まず,過去に撮影した流星の分光画像を流星群毎に集めます。次に,歪み補正式を利用して,それらの波長を求めます。そして,含まれる元素を特定します。最後に,結果を表にまとめ,流星群毎の傾向を考察します。
結果についてです。これまでに約507400枚の写真を撮り,65枚の流星の写真が撮れました。
考察は,
「ふたご群において最も多くの流星を撮影できた」「ふたご群以外においては,かなりの割合で酸素禁制線発光が確認できた。これにより,ふたご群は他の流星群に比べて,対地速度が小さいと考えられる」「Na I は全ての群で,ふたご群を除いて多くの割合で確認できた。ふたご群で少ない理由は,Naの生成からの経過時間が長い,母天体に含まれるNaが少ないなどが考えられている」「全体の傾向として,Na,Mgの輝線は多くの割合で確認できたが,Ca, Fe, O, Si, Nの輝線はあまり確認されなかった」「Na,Mgは,多くの流星で安定して含まれている」「Ca~Nは,強度が小さく,含まれてはいるが分光されない」「これまで一定数確認できていた酸素禁制線発光は見られなかった」「輝線の強度に関わらず,全ての流星からMgIが,殆どの流星からNaI,MgIIが確認できた」「これまで一定数確認できていた酸素禁制線発光は見られなかった」
などが考えられました。
課題・展望です。
「ディストーションチャートの関係式を用いた解析方法を確立させ,実際に導入する」「流星群の観測と多地点同時観測を継続し,群毎の元素の傾向や,高度と酸素禁制線発光の関係を明確にする」「特にふたご群での流星の輝線をさらに細かく調べる」「輝線の強度や含まれる元素を基準とするなどして,各流星群にどういった傾向があるのかを別の角度から調べる」
などが挙げられました。
参考文献は以下の通りです。
謝辞は以下の通りです。
ご清聴ありがとうございました。