11:00 〜 13:00
[PCG18-P07] 近赤外撮像装置TOPICSの検出器駆動と冷却システムの開発
キーワード:近赤外、検出器、冷却システム
本講演では、近赤外撮像装置TOPICS(TOhoku Planetary near-Infrared Camera System)の開発状況について報告する。赤外領域での発光・吸収には太陽系天体の大気や噴出ガスの分子種の組成と密度、および温度・風速などの情報が含まれる。これらは季節・自転・外界変動への応答などの時間変動を伴うため、また惑星探査機との同期観測等が求められるため、モニタリング観測および柔軟なスポット観測が必要である。具体例として、木星磁気圏においてはプラズマの約 9 割が衛星イオの火山ガス起源であり 、イオ火山活動度が木星磁気圏の変動や磁気圏-電離圏結合に大きく影響する。また、電離圏側では磁気圏からの降り込み電子が木星大気のH2と相互作用することにより、H2やH3+のオーロラ発光として観測される。このような、衛星イオの火山活動と木星磁気圏・電離圏の変動の因果関係を理解するにはイオ火山活動度(J,K-band の熱輻射)とH3+、H2 オーロラ発光(K,L-band)の連続観測が重要である。
TOPICSの検出器は1−5µm(J, K, L-bandを含む)に感度を持つレイセオン社のInSb256x256アレーである。東北大はハワイ・ハレアカラ観測所(標高 3040m)に口径 60cm 望遠鏡(T60)を擁しており、これにTOPICSを設置して検出器駆動回路の動作実証と試験観測を行う予定である。また、東北大ではTOPICSと共通の検出器駆動回路を用いる近赤外分光装置ESPRIT(Echelle Spectrometer for Planetary research In Tohoku University)を開発中である。ESPRITはエシェル高分散分光(λ/Δλ~20,000)とスリット長さ(50 arcsec)が特徴であり、これにより木星の衝の時期(視直径42~47 arcsec)においても両極の同時分光観測が可能である。検出器駆動回路をTOPICSで動作実証した後にはESPRITに回路を移設し、近赤外帯において惑星大気の高分散分光連続観測を目指している。ESPRITは将来的に、ハワイ大他と共同開発中の軸外し望遠鏡 PLANETS(口径 1.8m)への設置も予定している。
TOPICSの安定動作実現のためには2つの課題を解決する必要がある。一つ目は検出器の温度低減である。赤外域検出器においては、検出器のフォトダイオード内で発生した熱電子が暗電流ノイズとなるため、検出器温度の低減が重要である。昨年の時点で検出器温度は44Kであったが、熱パスの改良により39Kまで低下し、暗電流は2240e-/sから211e-/sまで低減された。現在更なる熱パスの改良を行っており、InSb検出器の動作至適温度である30〜35Kを達成し、暗電流を数10e-/sまで低減させる予定である。
二つ目は検出器駆動回路の読み出しノイズ低減である。現在、駆動回路全体での読み出しノイズはe-RMS換算で1200e-RMS程度であり、装置要求仕様の数10e-RMSを大きく上回っている。様々な条件で検証を行った結果、検出器からプリアンプまでの区間でこの過大な読み出しノイズが加わっていることが判明した。さらに、この読み出しノイズの原因は検出器冷却に用いている冷凍機が発する電気的ノイズであることも判明しており、現在ノイズ影響の低減を試みている。
TOPICSの検出器は1−5µm(J, K, L-bandを含む)に感度を持つレイセオン社のInSb256x256アレーである。東北大はハワイ・ハレアカラ観測所(標高 3040m)に口径 60cm 望遠鏡(T60)を擁しており、これにTOPICSを設置して検出器駆動回路の動作実証と試験観測を行う予定である。また、東北大ではTOPICSと共通の検出器駆動回路を用いる近赤外分光装置ESPRIT(Echelle Spectrometer for Planetary research In Tohoku University)を開発中である。ESPRITはエシェル高分散分光(λ/Δλ~20,000)とスリット長さ(50 arcsec)が特徴であり、これにより木星の衝の時期(視直径42~47 arcsec)においても両極の同時分光観測が可能である。検出器駆動回路をTOPICSで動作実証した後にはESPRITに回路を移設し、近赤外帯において惑星大気の高分散分光連続観測を目指している。ESPRITは将来的に、ハワイ大他と共同開発中の軸外し望遠鏡 PLANETS(口径 1.8m)への設置も予定している。
TOPICSの安定動作実現のためには2つの課題を解決する必要がある。一つ目は検出器の温度低減である。赤外域検出器においては、検出器のフォトダイオード内で発生した熱電子が暗電流ノイズとなるため、検出器温度の低減が重要である。昨年の時点で検出器温度は44Kであったが、熱パスの改良により39Kまで低下し、暗電流は2240e-/sから211e-/sまで低減された。現在更なる熱パスの改良を行っており、InSb検出器の動作至適温度である30〜35Kを達成し、暗電流を数10e-/sまで低減させる予定である。
二つ目は検出器駆動回路の読み出しノイズ低減である。現在、駆動回路全体での読み出しノイズはe-RMS換算で1200e-RMS程度であり、装置要求仕様の数10e-RMSを大きく上回っている。様々な条件で検証を行った結果、検出器からプリアンプまでの区間でこの過大な読み出しノイズが加わっていることが判明した。さらに、この読み出しノイズの原因は検出器冷却に用いている冷凍機が発する電気的ノイズであることも判明しており、現在ノイズ影響の低減を試みている。