日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM09] 宇宙天気・宇宙気候

2022年5月23日(月) 13:45 〜 15:15 302 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:片岡 龍峰(国立極地研究所)、コンビーナ:Pulkkinen Antti A(NASA Goddard Space Flight Center)、坂口 歌織(情報通信研究機構)、コンビーナ:塩田 大幸(国立研究開発法人 情報通信研究機構)、座長:塩田 大幸(国立研究開発法人 情報通信研究機構)、坂口 歌織(情報通信研究機構)

14:15 〜 14:30

[PEM09-15] 太陽フレアによる被ばくの脅威から航空機搭乗者を「合理的」に護る
―経済的損失リスクの定量化により最適な航空機運用指針の策定が可能に―

*藤田 萌1山敷 庸亮2,3佐藤 達彦5,3斎藤 享4 (1.あいおいニッセイ同和損保株式会社、2.京都大学総合生存学館(思修館) 、3.SIC有人宇宙学研究センター、4.電子航法研究所、5.日本原子力研究開発機構(JAEA) )

キーワード:航空機放射線被ばく、地上観測レベル上昇事象、リスク評価、太陽高エネルギー粒子、保険

航空機乗務員や乗客の宇宙線被曝(航空放射線被曝と呼ばれる)は、放射線防護において重要なテーマであり、特に太陽エネルギー粒子(SEP)に関するものである。そこで、5回の地上強化(GLE)時に8つの飛行ルートについて、SEPの線量を低減するための対策費用と線量率に関連するリスクを評価した。SEPの線量評価には,WASAVIES(WArning System for AVIation Exposure to Solar energetic particles)が開発した4次元の線量率データベースを用いた。コスト面では、飛行中止と飛行高度の引き下げという2つの対策を検討した。次に、過去のGLEの記録や、木の年輪や氷床の宇宙線核種濃度から観測された歴史的に大きな事象に基づいて、飛行ルートの最大線量と線量率がそれぞれ1.0mSvと80μSv/hを超えるような重大なGLE事象の年間発生頻度を推定しました。我々の計算では、上記の線量および線量率のしきい値を超えて飛行条件の変更を必要とする大きさのGLE事象は、それぞれ47年および17年に一度の割合で発生しており、保守的に見積もった年間のリスクと対策費用は、毎日運航される長距離フライトの場合、最大で約1.5千米ドルになると考えられる。