*椙村 怜1、塩川 和夫1、大塚 雄一1、大山 伸一郎1、Martin Connors2、門倉 昭3、Poddelsky Alexey4、Poddelsky Igor4、Shevtsov Boris4、三好 由純1、篠原 育8、土屋 史紀1、笠原 禎也9、熊本 篤志10、中村 紗都子1、新堀 淳樹1、浅村 和史7,11、横田 勝一郎12、桂華 邦裕15、堀 智昭1、風間 洋一13、Jun C.-W1、笠原 慧14、松岡 彩子8、Charles Smith5、Robert Macdowall6、Harlan Spence5、Geoff Reeve7、Herbert Funsten7、西谷 望1、Shepherd Simon16、Ruohoniemi John17
(1.名古屋大学宇宙地球環境研究所、2.Athabasca University, 1 University Drive, Athabasca, Alberta T9S 3A3, Canada, Department of Earth and Space Sciences, UCLA, Los Angeles, 90095, California, USA、3.National Institute of Polar Research, Midori-cho 10-3, Tachikawa, Tokyo 190-8518, Japan、4.Institute of Cosmophysical Research and Radiowave Propagation, Far Eastern Branch of the Russian Academy of Sciences、5.Institute for the Study of Earth, Oceans, and Space, University of New Hampshire、6.NASA Goddard Space Flight Center, Greenbelt, MD, USA、7.Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, NM, USA、8.Institute of Space and Astronautical Science, Japan Aerospace Exploration Agency、9.Graduate School of Natural Science and Technology, Kanazawa University、10.Graduate School of Science, Tohoku University、11.Japan Aerospace Exploration Agency、12.Department of Earth and Space Science, Graduate School of Science, Osaka University、13.Academia Sinica Institute of Astronomy and Astrophysics、14.Department of Earth and Planetary Science, School of Science, University of Tokyo、15.Graduate School of Science, Tokyo University、16.Thayer School of Engineering, Dartmouth College, Hanover, NH, USA、17. Virginia Tech Department of Electrical and Computer Engineering, Blacksburg, VA, USA)
サブオーロラ帯はオーロラが通常発生する磁気緯度65-75度付近よりも少し低緯度側の緯度帯である。この緯度帯は、地球に近い内部磁気圏の磁力線につながっており、プラズマ圏の外側境界(プラズマポーズ)やプラズマシート・リングカレント粒子の内側境界に対応しており、この緯度帯特有のオーロラが出現する。特にStrong Thermal Emission Velocity Enhancement(STEVE)は、2016年に発見されたサブオーロラ帯で見られる紫色の狭い帯状の発光現象である。また古くから知られているStable Auroral Red(SAR)アークもサブオーロラ帯で発生する。また、赤色しか光らないSARアークと似ているが、同時に緑色の発光が起こっているオーロラアークもしばしばみられている。しかし、これらの3種類のオーロラアークについて、磁気圏衛星と地上との共役観測を用いて、それぞれのアークの源となる磁気圏プラズマ・電磁場変動の特徴を比較した研究はこれまでに行われていない。そこで本研究では、サブオーロラ帯の7箇所 (Athabasca, Gakona, Husafell, Kapuskasing, Magadan, Nyrola, Tromsö)に設置された全天カメラによって、2017年1月から2021年4月の約4年間に得られたオーロラの画像のうち、内部磁気圏を飛翔するあらせ衛星・Van Allen Probes衛星がその上空を横切っている例に絞って解析を行い、あらせ衛星・Van Allen Probes衛星の電離圏フットプリント位置を画像中に投影することで、STEVEで4イベント、SARアークで4イベント、緑色と赤色アークで3イベントの同時観測例を同定した。この結果、3種類11例のどのオーロラに関しても、オーロラの磁気圏側のソース領域では、プラズマ圏とリングカレント粒子が空間的に重なっていることが分かった。また0.1-数keV程度の低エネルギー電子フラックスの増大がどの種類のアークでも見られた。また、どのイベントに関しても電磁イオンサイクロトロン(EMIC)波動は発生していなかった。また、SuperDARNレーダーのデータの初期解析から、特にSTEVEの発生時に、電離圏に西向きのプラズマの強い流れが生じていた。これらの解析結果は、サブオーロラ帯オーロラの磁気圏における粒子や電磁場の特徴の比較を初めて行った重要な成果である。