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[PEM11-13] あらせ衛星,全天カメラ,広角デジタルカメラで捉えたサブストームオンセット直後の脈動オーロラ
キーワード:脈動オーロラ、あらせ衛星、デジタルカメラ
2018 年 10 月 7 日 23:30 UT 頃に発生したオーロラサブストームにおいて,地上カメラとあらせ衛星の共役観測が成立したイベントの解析結果を報告する。サブストームと脈動オーロラの関係は古くから解析されており (Akasofu, 1968),多くの場合はオンセット以降,とりわけ回復相に多く観測されることが報告されている (Partamies et al., 2017)。また,脈動オーロラは朝側で最も多く発生する (Jones et al., 2011) ため,過去の事例解析の多くは朝側かつ回復相に出現したものを解析対象としている。そのため,拡大相の脈動オーロラを解析した研究は少なく,特に脈動オーロラが出現し始めるために必要な条件や過程はほとんど理解されていない。そこで,本研究ではアイスランド上空においてサブストームのオンセット直後に発生した脈動オーロラを,あらせ衛星,全天カメラ,デジタルカメラで同時観測した事例を解析し,脈動オーロラの発生条件に寄与するパラメータの推測を試みた。本イベントにおいて,全天カメラでは,オンセットの 10 分後から脈動オーロラが観測され始め,15 分後には全天を埋め尽くし,その後も 1 時間以上にわたって激しい明滅が続く様子が観測された。その一方で,全天カメラとの共役観測が成立したあらせ衛星の観測では,電子フラックスの急激な増加(インジェクション)がオンセットと同時に検出されたものの,コーラス波動が観測されたのはその 40 分後であった。また,オーロラの観測に使用したアイスランド・フサフェルの全天カメラは 557.7 nm を含む広い波長帯域を受光しているため,数 Hz の内部変調を検出することが難しい。しかしながら,偶然にも観測所付近で撮影を行なっていたオーロラガイドの動画において,赤と青チャネルにのみ数 Hz の変動が確認され,内部変調を伴う脈動オーロラが発生していたことがわかった。さらに,限られた視野・時間帯のみの撮影ではあるものの,内部変調はオンセット直後にはあまり見られない傾向も認められた。以上の観測事実を踏まえ,発表ではオンセットの後に脈動オーロラが発生するための条件や,コーラス波動の発生が光学発光に対して遅れた原因の考察を行う予定である。