日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM13] Coupling Processes in the Atmosphere-Ionosphere System

2022年5月24日(火) 15:30 〜 17:00 302 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:Huixin Liu(九州大学理学研究院地球惑星科学専攻 九州大学宙空環境研究センター)、コンビーナ:大塚 雄一(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、Chang Loren(Institute of Space Science, National Central University)、コンビーナ:Deng Yue(University of Texas at Arlington)、座長:大矢 浩代(千葉大学大学院工学研究院)、西岡 未知((独)情報通信研究機構)、斎藤 享(国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所電子航法研究所)


16:15 〜 16:30

[PEM13-10] フィンランド・ニロラの630nm大気光イメージャによって観測された極域型の中規模伝搬性電離圏擾乱の低緯度側境界の統計解析

*佐藤 雅紀1塩川 和夫1大山 伸一郎1大塚 雄一1、Arto Oksanen2 (1.名古屋大学宇宙地球環境研究所、2.Jyväskylän Sirius ry, Jyväskylä, Finland)


キーワード:中規模伝搬性電離圏擾乱、電離圏、極域

波長630nmの大気光撮像を通して波長100-1000kmスケールの電離圏のプラズマ密度の変動である中規模伝搬性電離圏擾乱(MSTID)は、波長630nmの大気光撮像を通して観測することができる。Shiokawa et al. (2012; 2013)とYadav et al.(2020)は、オーロラ帯の緯度に位置するノルウェーのTromsø(69.6°N, 19.2°E; 磁気緯度:66.7°N)で、オーロラの増光や地磁気変動に伴って動きが変化する極域型MSTIDの観測を報告している。Shiokawa et al. (2003)は、中緯度に位置する日本の信楽(34.8°N, 136.1°E; 磁気緯度:25.4°N) でMSTIDの観測を報告している。しかし、これまでにオーロラ帯で発生するMSTIDと中緯度で発生するMSTIDの発生確率などの明確な比較を行っていない。そこで今回は、両緯度帯の間に位置するフィンランドのNyrola(62.3°N,25.5°E;磁気緯度:59.4°N)で、PWINGプロジェクトによる大気光イメージャによってMSTIDを観測した。解析した期間は、2017年1月23日から2021年9月30日までの期間で12例のMSTIDを発見し、その大部分はオーロラ増光や地磁気変動に伴って動きが変化する極域型であることがわかった。そこで、上述した先行研究を含めた3つの観測地点において、MSTIDの発生確率・速度・波長・周期・波面の方向での比較を行った。その結果、Tromsøに比べて、NyrolaではMSTIDの発生確率が比較的低いことがわかった。講演では、これらの比較から、中緯度で発生するMSTIDと極域で発生するMSTIDの発生原因の違いについて考察を行う。

References:
Shiokawa et al. (2003), https://doi.org/10.1029/2002JA009491
Shiokawa et al. (2012), https://doi.org/10.1029/2012JA017928
Shiokawa et al. (2013), https://doi.org/10.1016/j.jastp.2013.03.024
Yadav et al. (2020), https://doi.org/10.1029/2019JA027598