11:00 〜 13:00
[PEM15-P04] Ordinary type III burstとMicro type III burstの周波数ドリフト率の太陽活動依存性
キーワード:太陽、電波バースト、Ⅲ型マイクロバースト、長期変動
Type III burstは突発的な太陽電波放射の一つであり、大きな負の周波数ドリフトを示す特徴を持つ。Type III burstがフレアに伴って活動領域上空で出現する場合、そのburstをOrdinary type III burstと呼ぶ。一方、Type III burstは、継続時間の短い数多くのburstが長期間続く場合があり、この現象をType III stormと呼んでいる。Morioka et al., (2007; 2015)ではType III stormを構成する個々のバーストをMicro type III burstと名付けた。Micro type III burstはフレアと明確な関連がなく、ストリーマー領域で発生していることが示唆され、Ordinary type III burstと比べ電波強度が低く、概して数10MHz以下の周波数範囲に発生することが知られている。
Type III burstの発生過程として、磁気リコネクションによって生成された高エネルギー電子が太陽コロナ中のプラズマを伝搬する際にラングミュア波を励起し、更にラングミュア波が電磁波に変換され放射されると考えられている。Type III burstの周波数は電波が発生する太陽コロナ中の電子密度を反映し、その周波数ドリフトは電子密度分布とburst生成に寄与する高エネルギー電子の動径方向速度を反映すると考えられている。burst生成に寄与する高エネルギー電子の動径方向速度は、burst生成に寄与する高エネルギー電子の速さと生成域の磁力線の向きに依存する。また、burst生成に寄与する高エネルギー電子の速さは、背景の電子の速度分布や高エネルギー電子のエネルギースペクトルに依存することと想定されている(e.g. Li and Cairns, 2014)。
太陽コロナの電子密度分布については太陽表層域の活動状態や太陽活動度によって異なることが知られている(e.g. Aschwanden and Acton, 2001; Wang et al., 2017)。Type III burstと太陽活動度との関係については、その出現頻度が活動度と正の相関を示すことは知られている。その一方で、コロナの電子密度分布や電波励起源の高エネルギー電子の動径方向速度が関係する周波数ドリフト率の太陽活動度との関係についての解析例は限られており(e.g. Zhang et al., 2018)、特にOrdinaryとMicro type III burstを明確に分類し、それらの周波数ドリフト率の長期変動を同時に行った研究は今までなされていない。そこで本研究では、「OrdinaryとMicro type III burstの周波数ドリフト率の長期変動特性の導出をメインテーマに機械学習を用いたtype III burstの統計解析を実施した。また、周波数ドリフト率の持つ情報に基づく「Type III burst生成に寄与する電子の物理状態」の推定をサブテーマにType III burstの事例解析を行なった。これらの目的のために、本研究では、長期間の太陽電波スペクトル連続観測が行われているフランス パリ天文台 Nancay Decameter Array(NDA)の低分解能データ(周波数分解能175kHz、時間分解能1sec)を用いた。NDAの観測周波数は主に10MHz-80MHzであるが、今回使用した周波数帯は人工ノイズの混入が少ない30MHz以上とした。
統計解析の結果、「Micro type III burstの極大期付近と極小期付近」や「極大期付近のOrdinaryとMicro type III burst」には周波数ドリフト率に95%信頼区間を超える違いがあり、周波数ドリフト率は極大期付近のMicro type III burstに較べ、極小期付近のMicro type III burstで1.1倍強、極大期付近のOrdinary type III burstで約1.2倍大きくなることを明らかにした。一方、「Ordinary type III burstの極大期付近と極小期付近」や「極小期付近のOrdinaryとMicro type III burst」の周波数ドリフト率に95%信頼区間を超える違いはないことも明らかにした。一方、周波数ドリフト率の事例解析から、電波生成に関わるエネルギー電子の動径方向速度の導出を行い、Type III burst 生成に寄与するhotなエネルギー電子と電波生成域のcoldな電子の速度分布との関係に制約を与える結果を得た。
Type III burstの発生過程として、磁気リコネクションによって生成された高エネルギー電子が太陽コロナ中のプラズマを伝搬する際にラングミュア波を励起し、更にラングミュア波が電磁波に変換され放射されると考えられている。Type III burstの周波数は電波が発生する太陽コロナ中の電子密度を反映し、その周波数ドリフトは電子密度分布とburst生成に寄与する高エネルギー電子の動径方向速度を反映すると考えられている。burst生成に寄与する高エネルギー電子の動径方向速度は、burst生成に寄与する高エネルギー電子の速さと生成域の磁力線の向きに依存する。また、burst生成に寄与する高エネルギー電子の速さは、背景の電子の速度分布や高エネルギー電子のエネルギースペクトルに依存することと想定されている(e.g. Li and Cairns, 2014)。
太陽コロナの電子密度分布については太陽表層域の活動状態や太陽活動度によって異なることが知られている(e.g. Aschwanden and Acton, 2001; Wang et al., 2017)。Type III burstと太陽活動度との関係については、その出現頻度が活動度と正の相関を示すことは知られている。その一方で、コロナの電子密度分布や電波励起源の高エネルギー電子の動径方向速度が関係する周波数ドリフト率の太陽活動度との関係についての解析例は限られており(e.g. Zhang et al., 2018)、特にOrdinaryとMicro type III burstを明確に分類し、それらの周波数ドリフト率の長期変動を同時に行った研究は今までなされていない。そこで本研究では、「OrdinaryとMicro type III burstの周波数ドリフト率の長期変動特性の導出をメインテーマに機械学習を用いたtype III burstの統計解析を実施した。また、周波数ドリフト率の持つ情報に基づく「Type III burst生成に寄与する電子の物理状態」の推定をサブテーマにType III burstの事例解析を行なった。これらの目的のために、本研究では、長期間の太陽電波スペクトル連続観測が行われているフランス パリ天文台 Nancay Decameter Array(NDA)の低分解能データ(周波数分解能175kHz、時間分解能1sec)を用いた。NDAの観測周波数は主に10MHz-80MHzであるが、今回使用した周波数帯は人工ノイズの混入が少ない30MHz以上とした。
統計解析の結果、「Micro type III burstの極大期付近と極小期付近」や「極大期付近のOrdinaryとMicro type III burst」には周波数ドリフト率に95%信頼区間を超える違いがあり、周波数ドリフト率は極大期付近のMicro type III burstに較べ、極小期付近のMicro type III burstで1.1倍強、極大期付近のOrdinary type III burstで約1.2倍大きくなることを明らかにした。一方、「Ordinary type III burstの極大期付近と極小期付近」や「極小期付近のOrdinaryとMicro type III burst」の周波数ドリフト率に95%信頼区間を超える違いはないことも明らかにした。一方、周波数ドリフト率の事例解析から、電波生成に関わるエネルギー電子の動径方向速度の導出を行い、Type III burst 生成に寄与するhotなエネルギー電子と電波生成域のcoldな電子の速度分布との関係に制約を与える結果を得た。