日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM15] 太陽圏・惑星間空間

2022年5月30日(月) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (4) (Ch.04)

コンビーナ:岩井 一正(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、コンビーナ:成行 泰裕(富山大学学術研究部教育学系)、西野 真木(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、コンビーナ:坪内 健(電気通信大学)、座長:成行 泰裕(富山大学学術研究部教育学系)、西野 真木(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)

11:00 〜 13:00

[PEM15-P07] 太陽風の高速荷電粒子群の磁気結合による現象

*唐澤 信司1 (1.宮城工業高等専門学校 名誉教授)

キーワード:太陽風、地磁気、アハラノフ・ボーム効果、ベクトルポテンシャル、惑星のリング

1.何故、太陽風はイオンの状態を維持して太陽系の端てまで到達できるのでしょうか?
高速荷電粒子は磁気を伴っており同じ荷電粒子が平行して運動する粒子間では引き合う磁気作用がありますが、電子とH+が平行して運動すると粒子間では反発する磁気作用となります。H+は電子の1836倍も質量が大きいのでプラズマ内の荷電粒子運動はH+の運動に依存します。自転する太陽から脱出速度617.5 km/s以上の速度で放出された荷電粒子群は内部で衝突を繰り返す際に磁気的な作用によって、太陽の自転軸に垂直な平面に大きな運動量の成分を持つ水素イオン(H+)がイオン状態を保って主流になり円盤状に広がり、太陽系の端にまで到達します。
2. 運動する荷電粒子間の磁気作用の原理
アハロノフ・ボーム効果によれば、速度(v)の荷電粒子(q)は、磁場Bの代わりにベクトルポテンシャルA (B=rotA)により磁気エネルギー(Em=-i・A)を考えるべきであるとしています。実証実験ではソレノイドコイルに電流(i=nqv)を流し、コイルの上と下にコイルの軸に垂直な方向の電子を流すと上と下の電子流の位相が相違して干渉縞が観測されます。磁場を先に考えるとソレノイドの外の磁場は相殺してゼロです。しかし、ソレノイドの内部と外部の電子の運動が平行の場合と反平行の場合で電子間の作用が相違して干渉縞が発生します。これは、磁場を先に考えては説明できません。静電場 V (E=grad V) と電荷密度(ρ)の関係であるポアソンの式とベクトルポテンシャルAと電流i は類似の式になります。この式よりAiの向きと並行であり、その大きさは遠ざかると減少します。静的磁場は閉じた円の電流の線積分の結果でありコイル内では個々の電子は常に方向を変化させており、Hはそれらの重ね合わせた磁気的な作用です。ちなみにアンペアの法則はiの面積分がHの線積分となります。磁場は、作用を受ける電流がそこの場所に磁気反応するものが存在しなければ存在しない場所に付与して計算する便宜的なものです。地磁気は注目する移動荷電粒子が存在する場所に他の荷電粒子の磁気作用を重ね合わせたものの表象です。
3. 連鎖する運動する荷電粒子間の磁気作用により形成される惑星の磁気圏
地球の地磁気は地球内部の外殻の液体金属の運動によって発生しているとされています。その地磁気が、太陽側の裏側に尾を形成します。最初に磁場を設定している従来の理論では後で荷電粒子の動きを考慮しても地磁気は変わりません。運動している荷電粒子間の磁気結合を最初に考慮する必要があります。そして、移動する荷電粒子の磁気結合を連鎖させることにより尾を持つ地磁気を説明することができます。運動する荷電粒子の作用により地磁気が拡大するという原理で“銀河系で外側の天体の回転速度の分布が平坦になる問題”を説明できます。銀河の構造を暗黒物質の重力ではなく、荷電粒子の磁気結合の連鎖により説明できます。
4. 外惑星を周回する荷電体の磁気結合によるリングの形成
太陽風で飛来した荷電粒子群と惑星内部の荷電粒子群が磁気的な作用によって惑星の地磁気が形成されます。惑星の静止軌道の周辺を周回する星間物質は太陽風のH+が衝突することによってイオン化されます。その周回する荷電物質群が惑星内部の荷電移動粒子と磁気結合により同期して回転するのでその回転速度は車輪の様に惑星の中心からの距離に比例します。その際の加速のエネルギーは同方向を通過する太陽風との磁気結合により供給されます。他方、ケプラーの第3法則(mv2/r=GMm/r2)による速度は中心からの距離に反比例します。そこで、静止軌道の距離R0=[G Mplanet (Torbit/2π)2]1/3付近において、車軸回転速度と公転回転速度の変化は相殺するので、重力中心の惑星に吸収されずに荷電物質は周回を続けています。
5. 結言
ベクトルポテンシャルを介して他の荷電粒子と作用する電荷を帯びて運動する粒子間の磁気エネルギーの効果で地磁気の性質を検証しました。今後、ベクトルポテンシャルを考慮した磁場に関する理論を調べることにより様々な分野で理解が深まることが期待できます。
Reference: [Shinji Karasawa, “Effects of solar wind on Earth’s climate”, Geology, Earth and Marine Sciences (GEMS), Volume 4 of February issue 2022] has been accepted for publication.