11:00 〜 13:00
[PPS03-P13] ラブルパイル天体表層模擬標的への衝突実験:クレーターサイズと衝突励起振動に対する低強度粗粒レゴリスの影響
キーワード:クレーター、衝突励起振動、ラブルパイル天体、衝突、粗粒、低強度
レゴリス層で覆われた小惑星上に形成される衝突クレーターは,重力によって支配されていると考えられている.そのため,これまでに重力支配域における衝突クレーター形成実験が数多く行われ,スケーリング則が確立されてきた.しかしながら,近年の小惑星探査により,ラブルパイル天体表層にはサイズ分布を持ち,強度が小さいレゴリス層が存在することがわかってきた.先行研究により,このような天体表層ではクレーター形成効率が低下することが示唆されている.また,小惑星上の高速度衝突に伴って発生する衝突励起振動は,天体表面や内部を伝播して表面地形を緩和する.先行研究ではガラスや石英砂標的に対して衝突実験が行われ,励起振動の減衰過程について調べられた.しかし,実際の天体表層では衝突時に標的粒子が破壊されると考えられるため,そのような標的における衝突励起振動の系統的な理解が必須である.そこで本研究では,ラブルパイル天体表層のような低強度で粗粒なレゴリス層模擬物質に対してクレーター形成実験を行い,標的粒子の強度とサイズ分布がクレーターサイズと衝突励起振動に及ぼす影響を調べた.
クレーター形成実験は(A)神戸大学の縦型一段式軽ガス銃と(B)JAXAの縦型二段式軽ガス銃を用いて実施した.弾丸は標的表面に対して垂直に衝突させた.標的には直径1~4 mm(細粒)と1~4 cm(大玉)の鹿沼土を用いた.標的粒子の圧壊強度はそれぞれ約60,13kPaであった.(A)では弾丸に直径3 mmの5種類の球(鉄,ジルコニア,アルミナ,ガラス,ナイロン)を用い,40〜200 m/sで衝突させた. (B)では弾丸に直径2 mmの8種類の球(アルミ,ナイロン,チタン,ジルコニア,鉄,銅,タングステンカーバイド,ポリカ)を用い,1.2〜6.3 km/sで衝突させた.クレーター形成過程はハイスピードカメラ(103~105 FPS)で撮影した.衝突励起振動は,衝突点からの距離が異なる3箇所に加速度計(型番:SV1111,SV1113,固有振動数:30 kHz)を設置し計測した.加速度データはチャージアンプ(型番:AD-8724D)を通してデータロガー(取込速度:100 kHz)で記録した.実験後の標的は回収して,表面に作られたクレーターの直径と深さを計測した.
クレーターサイズと弾丸の運動エネルギーの関係を調べた結果,細粒標的に関して低運動エネルギーと高運動エネルギーの間にオフセットが生じることがわかった.このオフセットの結果,約0.14 Jから0.63 Jの領域でクレーターサイズは運動エネルギーとともに変化せず,ほぼ一定となった.さらに高運動エネルギー領域になると,低運動エネルギーの結果の近似線の延長上に乗ることがわかった.また,大玉標的は細粒標的に比べてさらにクレーター形成効率が悪くなることがわかった.このようなオフセットや分離が見られるのは,衝突の運動エネルギーが標的である低強度粒子の破壊に使われているからだと考えられる.以上から,低強度粒子標的におけるクレーター形成過程は.砂標的とは明らかに異なることがわかった,
また,標的の受けた最大加速度とクレーターリム半径で規格化した衝突点距離の関係を調べた結果,どちらの標的に関しても弾丸の種類,衝突速度に依らず最大加速度は規格化距離が増加すると指数関数的に減少することがわかり,最大加速度の距離減衰に関する以下の経験式を得た.
クレーター形成実験は(A)神戸大学の縦型一段式軽ガス銃と(B)JAXAの縦型二段式軽ガス銃を用いて実施した.弾丸は標的表面に対して垂直に衝突させた.標的には直径1~4 mm(細粒)と1~4 cm(大玉)の鹿沼土を用いた.標的粒子の圧壊強度はそれぞれ約60,13kPaであった.(A)では弾丸に直径3 mmの5種類の球(鉄,ジルコニア,アルミナ,ガラス,ナイロン)を用い,40〜200 m/sで衝突させた. (B)では弾丸に直径2 mmの8種類の球(アルミ,ナイロン,チタン,ジルコニア,鉄,銅,タングステンカーバイド,ポリカ)を用い,1.2〜6.3 km/sで衝突させた.クレーター形成過程はハイスピードカメラ(103~105 FPS)で撮影した.衝突励起振動は,衝突点からの距離が異なる3箇所に加速度計(型番:SV1111,SV1113,固有振動数:30 kHz)を設置し計測した.加速度データはチャージアンプ(型番:AD-8724D)を通してデータロガー(取込速度:100 kHz)で記録した.実験後の標的は回収して,表面に作られたクレーターの直径と深さを計測した.
クレーターサイズと弾丸の運動エネルギーの関係を調べた結果,細粒標的に関して低運動エネルギーと高運動エネルギーの間にオフセットが生じることがわかった.このオフセットの結果,約0.14 Jから0.63 Jの領域でクレーターサイズは運動エネルギーとともに変化せず,ほぼ一定となった.さらに高運動エネルギー領域になると,低運動エネルギーの結果の近似線の延長上に乗ることがわかった.また,大玉標的は細粒標的に比べてさらにクレーター形成効率が悪くなることがわかった.このようなオフセットや分離が見られるのは,衝突の運動エネルギーが標的である低強度粒子の破壊に使われているからだと考えられる.以上から,低強度粒子標的におけるクレーター形成過程は.砂標的とは明らかに異なることがわかった,
また,標的の受けた最大加速度とクレーターリム半径で規格化した衝突点距離の関係を調べた結果,どちらの標的に関しても弾丸の種類,衝突速度に依らず最大加速度は規格化距離が増加すると指数関数的に減少することがわかり,最大加速度の距離減衰に関する以下の経験式を得た.