日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS06] 月の科学と探査

2022年5月29日(日) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (3) (Ch.03)

コンビーナ:西野 真木(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、コンビーナ:鹿山 雅裕(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系)、長岡 央(理化学研究所)、コンビーナ:仲内 悠祐(宇宙航空研究開発機構)、座長:西野 真木(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、小野寺 圭祐(パリ大学)

11:00 〜 13:00

[PPS06-P01] 月の褶曲構造の応力解析

*石山 謙1 (1.鶴岡工業高等専門学校)

キーワード:月、褶曲、LRS、応力

我々の身近な天体である月の表面は,標高が高い領域(高地領域)と低い領域(海領域)が存在する.月の海領域では,リッジ(山)やグラーベン(谷)のようなテクトニクスに起因する地形が見つかっており,リッジは月の海内部、グラーベンは海周辺部に分布する[1].月のリッジは,月全球冷却やマスコンテクトニクスによって形成する[1, 2].つまり,それらが,月面上に圧縮応力をかけることで,地下に正断層や逆断層が生じさせたり,表層をたわませたりすることで,リッジを形成させる[2, 3].したがってリッジの地下には,曲がった地下構造(褶曲構造)が形成する,
褶曲構造は,かぐやに搭載された月レーダサウンダ(LRS)により、初めて月の海領域のリッジ下に発見された[4].この褶曲構造は,応力場シミュレーションにより,水平圧縮応力(せん断応力と垂直応力)がかかっていたことが示唆された[2].一方で、リッジがたわみによって生じる褶曲構造は,1次元のたわみ方程式から解析できることが知られている[3].この解析は,地下の弾性パラメータや地層の厚さを仮定することで,非常にシンプルに,褶曲構造で生じた応力を計算できる.これまで,LRSによって検出された褶曲構造に対して,応力解析が詳細に実施されたことはない.そこで,本研究では,月の晴れの海や嵐の大洋で生じた褶曲構造で発生する応力を計算することを目的とした.本発表では,その研究の先行結果を報告したい.

[1] Solomon and Head, Reviews of Geophysics, 18(1), pp.107-141, 1980
[2] Freed et al., Journal of Geophysical Research: Planets, 106(E9), 20603-20620, 2001
[3] Trucotte and Schubert, Geodynamics, Cambridge University Press, 1-623, 2014
[4] Ono et al., Science, 323(5916), 909-912, 2009