13:45 〜 14:00
[PPS07-07] イオ表面環境を模擬した低温SO2霜の2D FT-MIR分光装置の開発
木星衛星イオは、太陽系内で最も火山活動が活発な天体である。この火山活動によって、二酸化硫黄(SO2)を主成分とする希薄な大気(約10-3−10-4 Pa)と、表面の広域にSO2の霜が形成されている。表面温度が"昼"(約130 K)から"夜"や木星蝕中(約90 K)にかけて急激に変化するのに応じてSO2は昇華と凝華(凝縮)を繰り返し、大気と表面で気相-固相循環が成立している。
イオ表面のSO2霜のスペクトル形状と結晶構造との関係を明らかにする目的で、これまでにイオ表面環境を模擬した中間赤外分光実験が行われてきた。Nash and Betts (1995) では、霜の厚さによって反射吸収スペクトルが変化することを報告している。また、彼らは様々な形状の霜が生じることを報告しているが、双眼顕微鏡を用いた目視によるスケッチ観察のみが行われており、霜の成長メカニズムやスペクトルとの関係は不明である。
本研究では、探査機観測に直接対応し得る、准共通光路波面分割型位相シフト干渉法(Qi et al., 2015)に基づくイメージングフーリエ変換中間赤外分光器(2D FT-MIR)を用いた低温固体試料の2次元中間赤外分光システムの開発と、これを用いたSO2霜のイメージング分光測定の結果について報告する。2D FT-MIRは、一般的なマイケルソン干渉計とは異なる動作原理に基づいており、波面分割によって空間的位相差を与え、結像面で干渉光成分を増幅して検出する。コモンパス干渉であるため、小型かつ熱背景放射の寄与を抑制できる。並行して、イオの表面温度を再現可能な液体窒素冷却によるSO2固体生成チャンバーの設計と製作を行った(図参照)。イオの大気圧程度に減圧したチャンバー内で、液体窒素デュワー先端のコールドヘッドに装着した赤外透過ヨウ化セシウム(CsI)プレートにSO2ガスを噴霧することでSO2の固体を堆積させる。その後、抵抗加熱ヒーターによってイオ表面温度に相当する130−90 Kの範囲で温度を昇降させ、2D FT-MIRによってSO2霜および結晶の透過吸収イメージングスペクトルをin-situ測定する。また、CsIプレートの回転機構を設けることで、様々な反射角に対するスペクトルの測定が可能なようにした。
イオ表面のSO2霜のスペクトル形状と結晶構造との関係を明らかにする目的で、これまでにイオ表面環境を模擬した中間赤外分光実験が行われてきた。Nash and Betts (1995) では、霜の厚さによって反射吸収スペクトルが変化することを報告している。また、彼らは様々な形状の霜が生じることを報告しているが、双眼顕微鏡を用いた目視によるスケッチ観察のみが行われており、霜の成長メカニズムやスペクトルとの関係は不明である。
本研究では、探査機観測に直接対応し得る、准共通光路波面分割型位相シフト干渉法(Qi et al., 2015)に基づくイメージングフーリエ変換中間赤外分光器(2D FT-MIR)を用いた低温固体試料の2次元中間赤外分光システムの開発と、これを用いたSO2霜のイメージング分光測定の結果について報告する。2D FT-MIRは、一般的なマイケルソン干渉計とは異なる動作原理に基づいており、波面分割によって空間的位相差を与え、結像面で干渉光成分を増幅して検出する。コモンパス干渉であるため、小型かつ熱背景放射の寄与を抑制できる。並行して、イオの表面温度を再現可能な液体窒素冷却によるSO2固体生成チャンバーの設計と製作を行った(図参照)。イオの大気圧程度に減圧したチャンバー内で、液体窒素デュワー先端のコールドヘッドに装着した赤外透過ヨウ化セシウム(CsI)プレートにSO2ガスを噴霧することでSO2の固体を堆積させる。その後、抵抗加熱ヒーターによってイオ表面温度に相当する130−90 Kの範囲で温度を昇降させ、2D FT-MIRによってSO2霜および結晶の透過吸収イメージングスペクトルをin-situ測定する。また、CsIプレートの回転機構を設けることで、様々な反射角に対するスペクトルの測定が可能なようにした。