日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS07] 惑星科学

2022年5月24日(火) 13:45 〜 15:15 展示場特設会場 (1) (幕張メッセ国際展示場)

コンビーナ:菊地 紘(宇宙航空研究開発機構)、コンビーナ:金丸 仁明(宇宙航空研究開発機構)、座長:金丸 仁明(宇宙航空研究開発機構)、杉浦 圭祐(東京工業大学 地球生命研究所)

15:00 〜 15:15

[PPS07-12] 第一原理経路積分分子動力学計算による氷高圧相の弾性特性

*土屋 旬1、志賀 基之2、常行 真司3 (1.愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター、2.国立研究開発法人日本原子力研究開発機構、3.東京大学大学院理学系研究科)

キーワード:第一原理計算、高圧、氷

氷高圧相の物性は氷天体の内部構造を知る重要な情報の一つである。高圧下において、氷VII相からX相に至る相転移はプロトンの静的無秩序状態から動的無秩序状態を経て対称水素結合状態へ至ると考えられており、多くの高圧実験・理論計算等により状態方程式や高圧物性が調べられてきた。特にVII相の状態方程式に関しては約40~60 GPa付近において圧縮率の増加 (Sugimura et al. 2008)、やNa含有氷VII相の弾性定数の減少が報告されており(Shi et al. 2021)、 それらがプロトンの動的無秩序状態に起因する可能性が指摘されている。第一原理分子動力学計算は、実験では難しい高温高圧下のプロトンの状態変化を調べる上で有効な手段であるが、低温条件では水素原子核の量子効果が圧縮挙動や弾性特性に顕著に現れる可能性がある。本研究は原子核の量子効果も考慮し、VII 相からX相に至るプロトンの状態変化を詳細に調べるために、第一原理経路積分分子動力学計算を行った。本発表においては、このようなプロトンの状態変化が状態方程式や弾性に及ぼす影響について報告する。
Sugimura et al. Phys. Rev. B 77, 214103 (2008).
Shi et al. Geophys. Res. Lett. 48, e2121GL092514 (2021).