15:45 〜 16:00
[PPS07-14] 粘性的なエネルギー散逸を考慮したダストアグリゲイトの衝突数値計算
キーワード:ダストアグリゲイト、衝突、破壊
原始惑星系円盤中でのダストアグリゲイト(ダスト粒子の集合体)の衝突合体および破壊現象について理解することは、惑星形成過程を議論する上で不可欠である。ダストアグリゲイトの衝突時の振る舞いは、これまでも多くの室内実験および数値計算によって調査されてきた(Blum & Wurm 2008, Wada et al. 2009, Hasegawa et al. 2021)。
従来の研究で行われてきた衝突数値計算においては、付着力を考慮した弾性球の接触理論(JKR理論)に基づいてアグリゲイトを構成する粒子間の相互作用が計算されている。衝突時の粘性的なエネルギー散逸の効果は考慮されていないことが多く、また、考慮した計算においても結果への影響は定量的に調査されていなかった。
しかし、室内実験によって得られた氷およびシリカ粒子の付着速度はJKR理論から見積もった値より大きく、粒子の衝突時に粘性的なエネルギー散逸が重要な役割を果たしていると考えられている(e.g., Krijt et al. 2013, Gundlach & Blum 2015, Arakawa & Krijt 2021)。そこで本研究では、粘性的なエネルギー散逸がダストアグリゲイトの衝突時の振る舞いに対する影響を数値計算によって調査した。
本研究では、半径0.1ミクロンの氷粒子からなるアグリゲイトの衝突数値計算を、衝突速度、衝突角度、そして粘性的な抵抗力の強さを変えて実施した。本研究で使用した計算コードはWada et al. (2009) で用いられたものを基にしている。衝突する2つのアグリゲイトの大きさはどちらも50,000粒子で、先行研究と同様にballistic particle−cluster aggregationと呼ばれる方法で衝突前のアグリゲイトを作成した。
数値計算の結果、ダストアグリゲイトが衝突時に成長できる最大速度は粘性的な抵抗力の強さに殆ど依存せず50 m/s程度であることが明らかになった。衝突中のアグリゲイトの構成粒子の速度を解析したところ、2つのアグリゲイトが50 m/s程度の速度で衝突した場合においても、接触する2粒子の相対速度の法線方向成分は1 m/s程度以下である場合が大多数であった。そのため、アグリゲイトの衝突合体において粒子間速度に比例する粘性的な抵抗力に殆ど依存しない結果が得られたのだと考えられる。
従来の研究で行われてきた衝突数値計算においては、付着力を考慮した弾性球の接触理論(JKR理論)に基づいてアグリゲイトを構成する粒子間の相互作用が計算されている。衝突時の粘性的なエネルギー散逸の効果は考慮されていないことが多く、また、考慮した計算においても結果への影響は定量的に調査されていなかった。
しかし、室内実験によって得られた氷およびシリカ粒子の付着速度はJKR理論から見積もった値より大きく、粒子の衝突時に粘性的なエネルギー散逸が重要な役割を果たしていると考えられている(e.g., Krijt et al. 2013, Gundlach & Blum 2015, Arakawa & Krijt 2021)。そこで本研究では、粘性的なエネルギー散逸がダストアグリゲイトの衝突時の振る舞いに対する影響を数値計算によって調査した。
本研究では、半径0.1ミクロンの氷粒子からなるアグリゲイトの衝突数値計算を、衝突速度、衝突角度、そして粘性的な抵抗力の強さを変えて実施した。本研究で使用した計算コードはWada et al. (2009) で用いられたものを基にしている。衝突する2つのアグリゲイトの大きさはどちらも50,000粒子で、先行研究と同様にballistic particle−cluster aggregationと呼ばれる方法で衝突前のアグリゲイトを作成した。
数値計算の結果、ダストアグリゲイトが衝突時に成長できる最大速度は粘性的な抵抗力の強さに殆ど依存せず50 m/s程度であることが明らかになった。衝突中のアグリゲイトの構成粒子の速度を解析したところ、2つのアグリゲイトが50 m/s程度の速度で衝突した場合においても、接触する2粒子の相対速度の法線方向成分は1 m/s程度以下である場合が大多数であった。そのため、アグリゲイトの衝突合体において粒子間速度に比例する粘性的な抵抗力に殆ど依存しない結果が得られたのだと考えられる。