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[PPS07-22] カンラン石への紫外光照射による宇宙風化模擬実験
キーワード:宇宙風化作用、紫外光照射、分光観測
宇宙風化とは、月や小惑星などの大気を持たない岩石天体が、長時間宇宙空間に晒されることで、表面物質の光学特性が徐々に変化していく過程である。主な光学特性の変化としては、反射スペクトルの赤化(傾きの増加)、暗化(全体的に暗くなる)、吸収帯の弱化の三つが知られている。このような変化は、微小隕石の衝突や太陽風の照射、太陽からの紫外光、宇宙線などにより天体表面の鉱物に何らかの変化をもたらすことによるものと考えられている。
これらの宇宙風化を模擬するために、様々な室内実験が行われてきた。しかし、太陽か紫外線による宇宙風化の影響は示唆されているものの(Kaiden et al., 2019 LPSC No.2132)、詳細な結果は得られていない。そこで本研究では、紫外光ランプ(朝日分光株式会社製MAX-303、波長:250~385 nm)を用いて、太陽からの紫外光の照射を模擬して宇宙風化模擬実験を行った。
実験の結果、紫外光照射によって可視光領域での反射スペクトル強度が30%減少するという、宇宙風化作用特有の暗化の変化が見られた。また、赤外領域ではスペクトル強度の変化が見られないことから、スペクトル全体の傾きが急になる赤化も見られた。さらに、カンラン石の試料は非常に短いタイムスケールで変化が現れたものの、すぐに変化が飽和することが分かった。ここから、太陽から1AUおける天体のタイムスケールに換算すると、十日程度で紫外光による宇宙風化が進行すると考えられる。
以上の実験から、非常に短いタイムスケールで紫外線照射による宇宙風化が進むことが分かった。よって、パルスレーザーによる模擬実験などの長いタイムスケールの模擬実験を行う際には、初めに紫外線照射による宇宙風化の効果を与えてから実験を行うことで、実際の現象に近い模擬実験を行うことができると考えられる。しかし、紫外光照射によってカンラン石表面に鉱物学的、化学的に何が起こっているのかに関しては、今後検討していく必要がある。
これらの宇宙風化を模擬するために、様々な室内実験が行われてきた。しかし、太陽か紫外線による宇宙風化の影響は示唆されているものの(Kaiden et al., 2019 LPSC No.2132)、詳細な結果は得られていない。そこで本研究では、紫外光ランプ(朝日分光株式会社製MAX-303、波長:250~385 nm)を用いて、太陽からの紫外光の照射を模擬して宇宙風化模擬実験を行った。
実験の結果、紫外光照射によって可視光領域での反射スペクトル強度が30%減少するという、宇宙風化作用特有の暗化の変化が見られた。また、赤外領域ではスペクトル強度の変化が見られないことから、スペクトル全体の傾きが急になる赤化も見られた。さらに、カンラン石の試料は非常に短いタイムスケールで変化が現れたものの、すぐに変化が飽和することが分かった。ここから、太陽から1AUおける天体のタイムスケールに換算すると、十日程度で紫外光による宇宙風化が進行すると考えられる。
以上の実験から、非常に短いタイムスケールで紫外線照射による宇宙風化が進むことが分かった。よって、パルスレーザーによる模擬実験などの長いタイムスケールの模擬実験を行う際には、初めに紫外線照射による宇宙風化の効果を与えてから実験を行うことで、実際の現象に近い模擬実験を行うことができると考えられる。しかし、紫外光照射によってカンラン石表面に鉱物学的、化学的に何が起こっているのかに関しては、今後検討していく必要がある。