10:45 〜 11:00
[SCG45-01] マントル地球ニュートリノ直接観測に向け海洋底反ニュートリノ検出器の研究開発
★招待講演
キーワード:地球ニュートリノ
U や Th といった地球内放射性起源の反電子ニュートリノ (地球ニュートリノ) の観測は 2005 年の KamLAND に よる世界初観測以降、観測精度の向上により地球科学的知見が得られるレベルに達している。しかし、KamLAND 等の大陸上の検出器では観測されるニュートリノの約 70% が地殻由来の反ニュートリノであり、より深く謎の多 いマントルの情報を得ることは難しい。海洋底反ニュートリノ検出器 (Ocean Bottom Detector) は、地殻がより薄 く U,Th の密度の小さい海洋で観測することによりマントル由来の地球ニュートリノの直接観測を目指すアイデア であり、地球深部の内部構造の解明に不可欠な観測値を与えることが期待される。また、この検出器は大陸上の検 出器の主要なバックグラウンド源である原子炉から離れることができ、移動式のため多地点で観測できるといった 独自の特徴がある。海底に検出器を沈めるアイデアは 2005 年にハワイ大学を中心に Hanohano という検出器とし て発案されたが、検出器の実現には至らなかった。しかし 2019 年より東北大と海洋研究開発機構の共同研究がス タートし、それぞれに蓄積された技術的、学術的知見を統合し、大型研究の実現に向けて動き出した。本講演では検出器構造物の開発と、シミュレーションをもとにした観測感度予測について発表する。