日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG48] 海洋底地球科学

2022年5月27日(金) 15:30 〜 17:00 105 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)、コンビーナ:田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)、座長:安川 和孝(東京大学大学院工学系研究科エネルギー・資源フロンティアセンター)、田中 えりか(海洋研究開発機構)

16:45 〜 17:00

[SCG48-18] 中緯度南太平洋における古第三紀炭酸塩堆積物から読み解く堆積環境変動~IODP U1553コアにおける全岩化学組成・Nd-Sr同位体比の速報

*田中 えりか1,2,3安川 和孝3宮崎 隆1、Vaglarov Bogdan1、Dunlea Ann4、Hendy Ingrid5、Science Party Expedition 3786 (1.海洋研究開発機構、2.千葉工業大学、3.東京大学大学院工学系研究科、4.ウッズホール海洋研究所、5.ミシガン大学、6.IODP Expedition 378)

古第三紀は,”Hothouse”あるいは”Warmhouse”と呼ばれる非常に温暖な環境から,”Coolhouse”と呼ばれる寒冷な環境に変遷した時代であったことが知られている [1].特に,長期的な温暖期においては,極域に大規模氷床が存在せず,極域と赤道域の海水温の差が現在よりも小さかった [2] ため,海洋環境は異なる様相を呈していた.加えて,古第三紀の南太平洋の高緯度域においては, (1) タスマン海の拡大 [3],(2) タスマン海峡における南極大陸からのオーストラリア大陸の分裂と,それに伴うインド洋・太平洋間の海水の交換の開始 [4] 等のテクトニックな変動が発生した.しかしながら,全球的な環境変動やテクトニックな変動が,南太平洋高緯度域の堆積環境に対し,長期的にどのような影響を与えたかは完全には明らかになっていない.そのような中,2020年1月から2月にかけて実施されたIODP Expedition 378において,ニュージーランドの南方に位置するCampbell PlateauでIODP Site U1553 (海底面下1221 m) の掘削が行われ,暁新世前期から漸新世前期にかけての連続した堆積物が採取された.
本発表では,Site U1553で取得された暁新世前期~漸新世前期の堆積物の全岩化学組成およびNd-Sr同位体比を新規に報告するとともに,新規データと船上で得られた炭酸塩含有量の分析結果を基に,Site U1553に記録されている長期的な堆積環境の変遷について議論を行う.