[S-CG48] 海洋底地球科学

[SCG48-P02] 中部沖縄トラフ伊江山熱水域で産する粘土鉱物・硫酸塩鉱物の解析に基づく海底下堆積物中における熱水・海水混合の考察

*板谷 優志¹、石橋 純一郎²、新城 竜一³、山中 寿朗⁴、岡崎 裕典⁵、尾上 哲治⁵ (1.九州大学大学院 理学府 地球惑星科学専攻、2.神戸大学 海洋底探査センター、3.総合地球環境研究所、4.東京海洋大学　海洋資源環境学部門、5.九州大学 大学院理学研究院 地球惑星科学部門)

キーワード：沖縄トラフ、海底、熱水、粘土鉱物、硫酸塩鉱物

中部沖縄トラフ伊江山熱水活動域において2018年9月に科学掘削が実施され、火口状の凹地地形(直径〜100 m)から採取された堆積物コアの海底下深度 50-65 mの層で、硫化鉱物と硫酸塩鉱物を産する鉱化作用が確認された(Ishibashi et al., JpGU2021)。本研究では、このコア中の粘土鉱物を対象としてX線回折法(XRD)による鉱物同定と電子線マイクロプローブ(EPMA)による化学組成定量を行った。
鉱物同定の結果、上方からSmectite層(47.4-51.0 m)、Illite/Smectite混合層鉱物層(51.8-54.1 m)、Illite層(54.7-58.1 m)、Illite +Chlorite層(60.0-70.0 m)の４種類の粘土鉱物層が確認できた。各粘土鉱物の形成温度条件から、深度が深くなるにつれ急激に温度が高くなる温度勾配が示唆された。化学組成定量の結果から、ChloriteはMgに富んでいる事が明らかになった。この結果は、深度60.0 mの深部から海水の大規模な浸透が起きていた事を示唆している。これらの粘土鉱物の解析結果は、硫酸塩鉱物の解析結果(Itatani et al., JpGU2021)から推定される熱水と海水の挙動と整合的である。
謝辞：本研究に用いた堆積物コア試料は、次世代海洋資源調査技術研究組合から提供いただきました。また、本研究はSIPプロジェクト「次世代海洋資源調査技術」により実施された研究をもとにしています。