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[SGC36-05] 無水および含水条件下でのポストスピネル相転移における鉄の影響
キーワード:ポストスピネル相転移、660km不連続面、鉄の影響、水の影響
地球内部には地震波速度不連続面があることが知られている。マントル遷移層における地震波速度不連続面はカンラン石の相転移で説明することができる。なかでも660 km不連続面はringwoodite (Rw) がbridgmanite (Brg) とferro-periclase (fPc) に分解相転移するポストスピネル相転移によるものだと考えられている。そして660 km不連続面は場所によって深さが異なることが知られている。最近、マントル遷移層に水がある証拠としてダイヤモンド包有物中の含水Rwが発見され、1.4-1.5wt%の水を含んでいることが明らかとなった。したがって水の影響について考える必要がでてきた。Mg2SiO4-H2O系の先行研究により相転移圧力が高圧側にシフトすることが報告されている (Higo et al., 2001)。また、第一原理計算からも水の影響によって相転移が高圧側にシフトすることがわかっている(Muir et al., 2021)。しかしMg2SiO4-Fe2SiO4二成分系で水の影響を明らかにした研究はない。加えて最近、今までの相転移ループとかなり異なる(Mg,Fe)2SiO4系ポストスピネル相転移の相図が提示された (Ishii et al., 2019)。このことから本研究では無水および含水条件下でのポストスピネル相転移における鉄の影響を明らかにすることを研究目的とし、高温高圧実験を行った。その結果(Mg,Fe)2SiO4系においてRwとBrg+fPcの含鉄量を調べることにより、Fe量の増加に伴って相転移圧力が低くなる共存ループを形成することが明らかとなった。