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[SGC36-P05] 埼玉県西部小森川流域の河床堆積物にみられる化学組成の経年変化
キーワード:地球化学図、河床堆積物、アルカリ元素、経年変化
河床堆積物に基づく地球化学図は、ある流域における表層岩の平均化学組成を図化したものである。地球化学図は、将来地質汚染などが起きた際に、汚染元素の拡散状況を正確に評価するための基礎データとしての意義がある。一方、河床堆積物中の一部元素は化学組成が時系列で変化することが認識されつつあり、地球化学図を表層化学組成の基礎データとして活用するためには、河床堆積物における化学組成の変化特性を調査する必要がある。
本研究では、埼玉県荒川流域の上流部において、2008年と2019年に採取された48地点の流域(各1 km2)における河床堆積物の化学組成を比較検討した。調査対象である小森川流域は、秩父帯や山中地溝帯に属する中~古生界からなる砂岩泥岩互層、チャート層が広く分布し、また石灰岩の薄層が数枚挟まれる地域である。XRFおよびLA-ICP-MSを用いたガラスビード法による41元素の組成分析の結果、ほとんどの元素は変化がなかったが、石灰岩が露出する流域では、河床堆積物試料の主要元素としてNa2O、K2Oが、微量元素としてRb、Srの増減が経時的に認められた。これらアルカリ元素組成の変動は、流域における石灰岩の化学的不均質性、あるいは雨水によるアルカリ溶出に起因している可能性がある。従って、石灰岩地域におけるこれらアルカリ元素の地球化学図を作成する場合は、約10年ごとに河床堆積物の再採取による化学組成の更新が必要となる。
本研究では、埼玉県荒川流域の上流部において、2008年と2019年に採取された48地点の流域(各1 km2)における河床堆積物の化学組成を比較検討した。調査対象である小森川流域は、秩父帯や山中地溝帯に属する中~古生界からなる砂岩泥岩互層、チャート層が広く分布し、また石灰岩の薄層が数枚挟まれる地域である。XRFおよびLA-ICP-MSを用いたガラスビード法による41元素の組成分析の結果、ほとんどの元素は変化がなかったが、石灰岩が露出する流域では、河床堆積物試料の主要元素としてNa2O、K2Oが、微量元素としてRb、Srの増減が経時的に認められた。これらアルカリ元素組成の変動は、流域における石灰岩の化学的不均質性、あるいは雨水によるアルカリ溶出に起因している可能性がある。従って、石灰岩地域におけるこれらアルカリ元素の地球化学図を作成する場合は、約10年ごとに河床堆積物の再採取による化学組成の更新が必要となる。