11:00 〜 13:00
[SGD01-P07] 2018年以降GEONETで検出された南海トラフ沿いの長期的SSE
キーワード:長期的スロースリップ、日向灘、紀伊水道
はじめに
豊後水道では5~6年ほどの周期で繰り返し長期的SSEが発生してきた。四国中部では1977-1980年に水準測量の結果から長期的SSEの発生が推定されている。紀伊水道の長期的SSEは、1996, 2000, 2016年に発生している。そのような中、2018年6月頃から、九州北部で遷移的な地殻変動が発生し、その後2018年10月頃から豊後水道周辺で遷移的な地殻変動が発生している。また四国中部で2019年初め頃から豊後水道SSEに伴う地殻変動と異なった遷移変動が発生している。2020年7月頃から九州南部で遷移的な変動が発生し、2021年7月まで続いている。紀伊水道では、2019年4月頃から遷移的な変動が発生している。本研究では、GEONETで観測された地殻変動のデータから、四国・九州・紀伊水道域のプレート間滑りの時空間変化を推定した。
解析手法
GEONET・F5解による、観測点の座標時系列から、年周、半年周成分を三角関数の重ね合わせで推定し、元の座標時系列から取り除いた。周期成分を取り除いた時系列から一次トレンドを除去している。九州域では、豊後水道域で2006-2009年間、それ以外の地域では2008-2011年間の一次トレンドを除去している。四国中部、紀伊水道域では2017-2018年間の一次トレンドを除去した。九州域に関しては、2011年東北地方太平洋沖地震、2016年熊本地震の余効変動を粘弾性緩和のシミュレーション結果に基づいて除去している(Suito 2017;水藤2017)。このようにして得られた東西、南北、上下の座標時系列データを用いて時間依存のインバージョン解析を九州・四国域、四国中部域及び紀伊水道域に関して行った。観測点は南海トラフ域の電子基準点約250点を使用した。弘瀬他(2008)によりコンパイルされたフィリピン海プレートの形状を九州・四国域、四国中部域の解析では三角形要素で表して解析に使用している。グリッド間隔は、20-40km程度としている。プレート境界面上のすべりの方向はプレート収束方向になるように拘束をかけた。紀伊水道域に関しては、弘瀬他(2008)によりコンパイルされたフィリピン海プレートの形状をスプライン曲面で表し、滑り方向は東向きから南向きの範囲に拘束した。グリッド間隔は20kmほどとしている。
結果と考察
2018年6月頃から2019年秋頃にかけて日向灘北部・豊後水道でSSEが発生している。豊後水道SSEと同時期に四国中部でSSEが発生し、2021年12月まで継続している。豊後水道SSEはMw6.9、四国中部SSEはMw6.3程度と推定された。豊後水道SSEはおおよそ5-6年周期と調和的で、四国中部は、1977-1980年に発生し、2013年に発生しているが、その繰り返し間隔はあまり周期的でないように見える。2018年末に日向灘南部で長期的SSEが発生し、2020年6月頃から日向灘南部で長期的SSEがまた発生している。日向灘南部SSEは熊本地震を挟みながら2年ほどの周期で発生している。紀伊水道のSSEは、2019年4月頃からはじまり、2020年夏頃に一旦収束したものの、2021年12月現在まだ継続している。繰り返し間隔ははっきりしないように思われる。また2019年の種子島の地震後にアフタースリップが推定された。
豊後水道では5~6年ほどの周期で繰り返し長期的SSEが発生してきた。四国中部では1977-1980年に水準測量の結果から長期的SSEの発生が推定されている。紀伊水道の長期的SSEは、1996, 2000, 2016年に発生している。そのような中、2018年6月頃から、九州北部で遷移的な地殻変動が発生し、その後2018年10月頃から豊後水道周辺で遷移的な地殻変動が発生している。また四国中部で2019年初め頃から豊後水道SSEに伴う地殻変動と異なった遷移変動が発生している。2020年7月頃から九州南部で遷移的な変動が発生し、2021年7月まで続いている。紀伊水道では、2019年4月頃から遷移的な変動が発生している。本研究では、GEONETで観測された地殻変動のデータから、四国・九州・紀伊水道域のプレート間滑りの時空間変化を推定した。
解析手法
GEONET・F5解による、観測点の座標時系列から、年周、半年周成分を三角関数の重ね合わせで推定し、元の座標時系列から取り除いた。周期成分を取り除いた時系列から一次トレンドを除去している。九州域では、豊後水道域で2006-2009年間、それ以外の地域では2008-2011年間の一次トレンドを除去している。四国中部、紀伊水道域では2017-2018年間の一次トレンドを除去した。九州域に関しては、2011年東北地方太平洋沖地震、2016年熊本地震の余効変動を粘弾性緩和のシミュレーション結果に基づいて除去している(Suito 2017;水藤2017)。このようにして得られた東西、南北、上下の座標時系列データを用いて時間依存のインバージョン解析を九州・四国域、四国中部域及び紀伊水道域に関して行った。観測点は南海トラフ域の電子基準点約250点を使用した。弘瀬他(2008)によりコンパイルされたフィリピン海プレートの形状を九州・四国域、四国中部域の解析では三角形要素で表して解析に使用している。グリッド間隔は、20-40km程度としている。プレート境界面上のすべりの方向はプレート収束方向になるように拘束をかけた。紀伊水道域に関しては、弘瀬他(2008)によりコンパイルされたフィリピン海プレートの形状をスプライン曲面で表し、滑り方向は東向きから南向きの範囲に拘束した。グリッド間隔は20kmほどとしている。
結果と考察
2018年6月頃から2019年秋頃にかけて日向灘北部・豊後水道でSSEが発生している。豊後水道SSEと同時期に四国中部でSSEが発生し、2021年12月まで継続している。豊後水道SSEはMw6.9、四国中部SSEはMw6.3程度と推定された。豊後水道SSEはおおよそ5-6年周期と調和的で、四国中部は、1977-1980年に発生し、2013年に発生しているが、その繰り返し間隔はあまり周期的でないように見える。2018年末に日向灘南部で長期的SSEが発生し、2020年6月頃から日向灘南部で長期的SSEがまた発生している。日向灘南部SSEは熊本地震を挟みながら2年ほどの周期で発生している。紀伊水道のSSEは、2019年4月頃からはじまり、2020年夏頃に一旦収束したものの、2021年12月現在まだ継続している。繰り返し間隔ははっきりしないように思われる。また2019年の種子島の地震後にアフタースリップが推定された。