13:45 〜 14:00
[SGD02-01] 全球統合測地観測システム(GGOS)-最近の活動と日本での連携-
キーワード:全球統合測地観測システム、国際測地学協会、GGOS Japan、コロケーション、宇宙測地技術
全球統合測地観測システム(GGOS)は,グローバル測地コミュニティの連携した地球システムの観測,監視に貢献している.測地学は,地球の形状,重力場,回転を時間の関数として決定する科学である.この目標を達成するために不可欠なのが,安定,整合的な測地基準系で,これにより,点や物体の時間変化する座標を決定し,宇宙空間での地球の運動を記述するための基盤が提供される.現在の観測機器と解析技術によって,測地学は,今や,大規模で継続的な変動から非常に小さく一時的な変動まで幅広い変動の時間変化を,さらに高い時空間分解能,精度で,遅延無く,検出することが可能となっている.地球惑星科学とその活用の進歩は,測地観測・解析インフラ,高品質な測地プロダクツが提供する基盤の上に成り立っている.このように,GGOSは,地球形状,回転,質量分布を監視し,記述し,理解するために必要となる地球観測の生成と共有を促進し,可能とするための探究を行っている.GGOSはまた,地球規模の変動プロセスを計測し,整合的に解釈するための根幹的な基盤であり,かつ,均質で持続可能な開発を世界のどこでも確実にするために不可欠な地理空間情報インフラである,測地基準座標系を推奨している.GGOSは,その母体である国際測地学協会(IAG)と密接に連携し,こうした基盤を持続可能としている.IAG事業は,GGOSによる貢献の基盤となるインフラとプロダクツを提供し,IAGコミッションとコミッション間委員会は,専門知識を提供し,鍵となる科学的課題への取組を支援している.さらに,GGOSは,国連,特に,国連地球規模の地理空間情報管理のための専門家委員会(UN-GGIM),UN-GGIM測地準委員会,新たに設置される国連の地球規模の測地連携拠点(2022年の早い時期に活動開始を予定)を含め,より広い地理空間情報コミュニティとの分野横断的な関係,及びそれらへの貢献を強化することによってIAGを支援している.ここでのGGOSの主要な貢献は,社会に対する測地学の価値を知らしめ,グローバルな測地コミュニティが直面する入り組んだ課題を理解し,解決する手助けをするための活動や取組を支援することである.この目標に向かって,GGOSは,測地観測(https://ggos.org/obs/)と測地プロダクツ((https://ggos.org/products/)の詳細な記述を含む,包括的な測地ポータル(https://ggos.org/)を構築し,測地学の役割と重要性を測地学以外の人々に説明するための短い動画など,様々なアウトリーチの手段を構築している.地球規模の測地連携には,地域や国家からの活発な参加も不可欠で,地域や国家内での測地連携を推進する仕組みがGGOS Affiliateである.GGOS Japanは,第1のGGOS Affiliateとして日本国内のGGOS活動を促進するために2013年に設立され,GGOSと国内の測地関係機関・研究所の連携に取り組んでいる.2020年に第2のGGOS Affiliateとして設立されたGGOS DACHは,GGOS Japanとの連携強化の機会を模索する議論を行っている.日本国内でのGGOS連携,日本からGGOSへの貢献の強化の一環として,GGOS Japanは,測地基準座標系の実現におけるコロケーションの役割と重要性への理解を促進するために,石岡測地観測局のVLBI-GNSSのローカルタイ観測のためのコロケーションを撮影した動画の作成を進めている.さらには,日本において適用しうる測地データへのDOI付与のための適切な仕組みの検討を行い,測地学会と連携して仕組みの実現に取り組んでいる.GGOS Japanは,これらの活動を通じてGGOSに貢献し,国内の測地機関の間での連携の強化,GGOSへの参加の支援を行っている.