14:30 〜 14:45
[SGD02-04] 電子基準点の定常解析結果を用いた時間方向のモデル化手法の検討
キーワード:GNSS、電子基準点、地殻変動補正パラメータ
国土地理院では、プレート運動などに伴う定常的な地殻変動によって生じるひずみの影響を緩和するため、2010年に測量分野においてセミ・ダイナミック補正を導入し(檜山ほか,2010)、2020年からはそれを測位分野にも拡張した定常時地殻変動補正システムを公開している。これらの補正には、日本全国の約1,300点の電子基準点のある特定の日の座標値と、測地基準座標系の基準日(元期)の座標値との差をクリギング法によってグリッド化したパラメータを用いている。時間の経過とともに蓄積する地殻変動量を適切に補正するため、定常時地殻変動補正システムではこの地殻変動補正パラメータを3か月に一回更新している。しかし、近年の衛星測位技術の進展により誰もが簡単に高精度な座標値を取得できるようになったことで、例えば衛星測位により求めた位置を地図に重ね合わせるというように、高精度測位で得られる任意の時点の座標値を、測地基準座標系の元期における位置に基づく地理空間情報とともに用いるためには、元期からの累積地殻変動量を常時高精度に補正できる地殻変動補正パラメータが必要であるが、現在のパラメータの手法では、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震直後の余効変動のように、変動速度や変動加速度の大きい地殻変動を高精度に追随できない可能性がある。
こうした背景を踏まえ、本研究では、より高精度に地殻変動を追随することができる地殻変動補正パラメータ(地表変動モデル)の構築を目指し、Tobita (2016)による電子基準点の定常解析結果に含まれる余効変動を対数関数や指数関数によって表現する手法を用いた。しかし、これらの関数の時定数や係数を推定するため単純に電子基準点の解析結果を用いるだけでは、植生等の電子基準点の周辺環境の変化や観測機器の故障により発生する解析結果の外れ値の影響を受けてしまう。そこで、上記の推定に用いる解析結果とは別に、精密単独測位により電子基準点のエポック毎の座標値を推定し、その座標値から得られる標準偏差を、前述の指数関数・対数関数の時定数等の推定時に重みとして考慮する手法を検討した。本発表では、これら検討結果について報告する。
参考文献:
檜山洋平・森下遊・山尾裕美・湯通堂亨・越智久巳一・岩田昭雄 (2010): セミ・ダイナミック補正の導入について, 国土地理院時報, 120, 55-61.
Tobita, M. (2016): Combined logarithmic and exponential function model for fitting postseismic GNSS time series after 2011 Tohoku-Oki earthquake, Earth Planets and Space, 68:41, doi:10.1186/s40623-016-0422-4.
こうした背景を踏まえ、本研究では、より高精度に地殻変動を追随することができる地殻変動補正パラメータ(地表変動モデル)の構築を目指し、Tobita (2016)による電子基準点の定常解析結果に含まれる余効変動を対数関数や指数関数によって表現する手法を用いた。しかし、これらの関数の時定数や係数を推定するため単純に電子基準点の解析結果を用いるだけでは、植生等の電子基準点の周辺環境の変化や観測機器の故障により発生する解析結果の外れ値の影響を受けてしまう。そこで、上記の推定に用いる解析結果とは別に、精密単独測位により電子基準点のエポック毎の座標値を推定し、その座標値から得られる標準偏差を、前述の指数関数・対数関数の時定数等の推定時に重みとして考慮する手法を検討した。本発表では、これら検討結果について報告する。
参考文献:
檜山洋平・森下遊・山尾裕美・湯通堂亨・越智久巳一・岩田昭雄 (2010): セミ・ダイナミック補正の導入について, 国土地理院時報, 120, 55-61.
Tobita, M. (2016): Combined logarithmic and exponential function model for fitting postseismic GNSS time series after 2011 Tohoku-Oki earthquake, Earth Planets and Space, 68:41, doi:10.1186/s40623-016-0422-4.