日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] 測地学・GGOS

2022年5月24日(火) 15:30 〜 17:00 101 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、コンビーナ:三井 雄太(静岡大学理学部地球科学科)、松尾 功二(国土地理院)、座長:深谷 俊太朗(国土地理院)、風間 卓仁(京都大学理学研究科)

16:45 〜 17:00

[SGD02-12] 天体の潮汐力による地球内部の歪と重力ポテンシャルの変化

大江 昌嗣1、*花田 英夫1 (1.奥州宇宙遊学館)

キーワード:潮汐力、地球内部、歪み、重力

Wang(1972)の地球モデルを用いて地球潮汐のLove数の計算を行った。方法は、起潮汐力の周波数の変化を考慮した連立1次偏微分方程式を構築し、初期値を与えてRunge-Kuttaの4次解法を適用した。偏微分方程式は、基本的にはAlterman et al.(1959) に、また一部Takeuchi& Saito(1972)に従い、境界条件については、特に固体と流体の間で、角速度が小さくなった場合のための工夫を施した。固体中心核の最中心部における初期値は、Pekeris & Jarosh (1958)の手法によるU,V,Pの3の独立な3つの解の算出から、それらをyi(i=1,・・・6)に変換して求めた。得られた結果は、従来の手法等と比較しても良好とみられ、周波数を変えた場合の影響も主要分潮である24、12、6の各時間の周期ではほとんど差が見られない。Runge-Kuttaの4次解法の威力は明らかで、各層のステップ数も14から30と少なめにしたが、良好な結果が得られた。また計算のプロセスも地球中心から地表までの一回で十分であった。またRunge-Kutta法の初期値として、3つの独立なベクトル(0,1,0,0,0,0),(0,0,0,1,0,0),(0,0,0,0,0,1)を用いて計算を行ったが、どの周期でも上記の初期値による結果とほぼ同じ値が得られ、初期値としては、この基本ベクトルで十分であることが示された。
行列式の値は周期6.656、17.617、19.886の時間でほぼゼロになり、その前後で符号を変えることが確認された。このゼロクロッシングは、何らかの流体核等の固有値を拾っていると見られ、今後の検討が必要であるが、この時間から少し離れた周期では、安定な解が得られていることから、計算のプロセスをdynamic とstatic の2つに分けて行う必要を認めなかった。また結果を単純モデルと比較するために、Pekeris & Jarosh (1958)の手法によるBessel関数によるU,V,Pの展開により、一様な地球モデルによる地球中心部から地表までのyiを求めて、前者との比較を行った。