日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] 測地学・GGOS

2022年5月25日(水) 09:00 〜 10:30 101 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、コンビーナ:三井 雄太(静岡大学理学部地球科学科)、松尾 功二(国土地理院)、座長:中島 正寛(国土交通省国土地理院)、太田 雄策(東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター)

09:00 〜 09:15

[SGD02-13] 国立天文台水沢の超伝導重力計で観測された2011年東北地方太平洋沖地震発生後の重力変化

*田村 良明1今西 祐一2西山 竜一2風間 卓仁3松尾 功二4 (1.国立天文台水沢VLBI観測所、2.東京大学地震研究所、3.京都大学理学研究科、4.国土地理院)

キーワード:重力変化、超伝導重力計、東北地方太平洋沖地震、衛星重力観測

国立天文台水沢VLBI観測所では、2009年の初めから、超伝導重力計による重力変化の連続観測を実施している。超伝導重力計は小さいといえども機械的なドリフトがあり、1年以上の長期な重力変化を議論する場合には絶対重力測定と組み合わせた観測が必要になる。水沢VLBI観測所では、地震研究所と共同で2015年から毎年絶対重力測定を実施し、超伝導重力計のドリフトの拘束を行い、2014年1月から2021年7月までの連続した重力変化の観測値を得た。観測に使用した超伝導重力計は、2017年の10月にGWR社のTT70型007号機から016号機に交換を行っている。観測された重力変化のデータに、土壌水分の時間変化による重力変化のモデル計算結果の補正と、GNSS観測から得られた観測点の上下変位に伴う free air 補正を行い、最終的な重力変化の観測結果を得た。観測結果はexp decay型の明瞭な重力増加を示している。非線形最小2乗法を適用し、減衰の時定数と振幅係数を求めると、それぞれ648.9±17.6日、-85.7±4.1μgalとなった。一方、衛星重力観測 GRACE/GRACE-FO で標準的に使われているDDK3(240km)フィルタ出力を用いて水沢の重力値時系列を計算すると、同様な重力増加が見られる。しかし、時間変化の時定数と振幅係数を求めると3555.9 ± 763.8日、14.9±1.6μgalと、かなり結果が異なっている。両者の違いは、後者では200km以上のスケールの現象しか捉えられないのに対し、前者ではより短い50kmから100kmスケールの現象を捉えていることからくるものと考えられる。
 水沢VLBI観測所で超伝導重力計による観測を継続するにあたり、資金の一部を大久保修平、三浦 哲、池田 博、田中愛幸の各氏から支援いただいた。ここにお礼申し上げる。