日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL23] 地球年代学・同位体地球科学

2022年5月25日(水) 09:00 〜 10:30 102 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、コンビーナ:佐野 有司(高知大学海洋コア総合研究センター)、座長:田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(高知大学海洋コア総合研究センター)

09:45 〜 10:00

[SGL23-03] 地磁気永年変化による深海堆積物の年代決定

*金松 敏也1池原 研2熊 衎昕1 (1.海洋研究開発機構、2.産業技術総合研究所)

キーワード:古地磁気永年変化、深海堆積物、歴史地震、タービダイト、日本海溝

地磁気変動には様々な周期がある。そのうち102年程度の永年変化はリファレンスの変化曲線と比較することで年代を推定することができ遺跡・遺物などの年代推定に適応されてきた。また連続的に噴出した溶岩や時間分解能が高い堆積層の磁化方位にも永年変化が記録されている。過去数千年間の永年変化曲線はユニークな変動のためリファレンス曲線と比較しやすく年代づけに有効である。海底堆積物では特に水深が大きく炭酸塩を使った炭素14年代などが利用できない場合にその価値は非常に大きい。
2011年の東北沖太平洋地震の後、超深海の日本海溝には地震によって引き起こされた厚層タービダイトが堆積している事が報告された。この厚層タービダイトを歴史地震と関連づけるために詳細な年代決定が必要であるが日本海溝の堆積物には他の年代法の適応が難しいため永年変化による年代づけが可能か古地磁気記録を検討した。水深7400mと7600mの海盆からピストンコアリングで得たコア試料で検討した。岩石磁気特性から厚い細粒タービダイト層と半遠洋性堆積層の境界を同定し半遠洋性堆積層のみの古地磁気データを抽出した。その結果、堆積速度が速く優れた地磁気記録が保存されていることが分かった。特に過去3,000年間の偏角変動は特徴的な変化を示しており古地磁気の永年変化記録におけるタービダイトの層位は相互によく相関していることが示され、コア採取地点の距離があっても正確に相関させることができた。タービダイトの年代は永年変化記録とリファレンスの記録を参考に決定した。特に、貞観地震で誘発されたと考えられるタービダイトユニットの年代は文献上の年代と一致し、古地磁気永年変動による年代決定の有効性が示された。同様な状況の堆積物の記録を今後検討することが可能である。