日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL24] 日本列島および東アジアの地質と構造発達史

2022年6月2日(木) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (24) (Ch.24)

コンビーナ:細井 淳(産業技術総合研究所地質調査総合センター地質情報研究部門)、コンビーナ:大坪 誠(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)、座長:大坪 誠(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)

11:00 〜 13:00

[SGL24-P03] 北上山地北東部における大島造山末期(白亜紀中頃)の伸張応力

*山路 敦1越谷 信2 (1.京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻、2.岩手大学理工学部システム創成工学科)

キーワード:応力、大島造山運動

前期白亜紀に北上山地でおこった大島造山運動はBarremian (121.4~126.5 Ma; Gale et al., 2020)に最盛期をむかえ(Ehiro et al., 2020),北上帯の南部と北部が合体した(e.g., Ehiro et al., 2016).この運動で,褶曲や広範な火成活動がおこった.そして変形は宮古層群堆積までに終息した(Kobayashi, 1941).同層群基底はAptian末(e.g, Matsumoto, 1982),すなわち115 Ma頃である.ところが最近,盛岡東方の根田茂帯と北部北上帯にみられる120~130 Maの岩脈の応力解析で,伸張応力が検出された(内野・羽地, 2021).とはいえ,それらの岩脈の母岩がジュラ紀以前の付加体であり,また,貫入直後の被覆層が岩脈の近くにあるわけでもないために,岩脈が貫入のあとどのていど傾動したのか判断が困難で,その結果,この伸張応力の妥当性が不明確である.

そこで本研究では,上部白亜系の久慈層群の基底不整合近傍の,基盤中の石英脈群の応力解析を行った.それらの地層の基底部が緩傾斜であるため,貫入後の傾動の影響は小さいと考えられるからである.久慈南西方の旧大川目鉱山付近の439枚の石英脈から,結果として伸張応力が検出され,tectonostratigraphyと母岩の放射年代から,それらがAptian (113.2–121.4; Gale et al., 2020)に働いていた応力と判断された.つまり,大島造山末期には北上地域は伸張応力場にあったという,内野・羽地(2021)の見解を支持する結果が得られた.