11:00 〜 13:00
[SGL24-P06] 山口県美祢市大嶺町における常森層の地質構造および堆積環境
キーワード:転倒褶曲、秋吉帯、美祢市、常森層
【はじめに】秋吉石灰岩が広域に逆転構造を持つことは広く知られている。この逆転構造について考察するうえで、秋吉石灰岩と非石灰岩相の関係については重要であり、多くの研究(例えば藤井・三上,1970;Wakita et al.,2018)があるが、まだ議論の余地がある。非石灰岩相の中でも常森層は、秋吉石灰岩の逆転構造を考えるうえで重要な地質であるが、泥岩が主体であり層理面の認定が困難なため、地質構造に不明な点が多い。そこで、本研究では美祢市大嶺町に分布する常森層の上位方向を明らかにした上で、地質構造・堆積環境について考察し、秋吉石灰岩と常森層の関係について検討する。
【結果】野外及び室内での観察から、次の4つの結果が得られた。
常森層の泥岩中に挟在する砂層の堆積構造の観察に基づき17ヶ所において上下判定を行うことができた。本地域の地質構造は、南傾斜・北傾斜の二つの傾斜方向を示し、いずれも大局的に北上位を示す。傾斜方向の変化により逆転層・正常層の両方が存在する。本地域の常森層は、層序的下位から上位に向けて砂岩、泥岩と累重し、付加体に特徴的なチャート砕屑岩シーケンスに当てはまらない。石炭化していない木片や最大1.8 cmの植物化石が砂岩から産出する。本地域の天竺山においては、秋吉石灰岩の一部である結晶質石灰岩が、常森層の構造的上位にほぼ水平に、常森層の地質構造を斜交するように分布する。
【考察】観察結果に基づき以下のような解釈を行った。
観察結果から北フェルゲンツの軸面を持つ転倒褶曲が想定される。層序、化石および木片の観察結果より、常森層の堆積環境は海溝ではなく、より陸に近い場所ではないかと考察される。現在の北側に対し、南側が持ち上がるような力が加わり、北フェルゲンツの軸面を持つ転倒褶曲が形成され、この常森層の構造的上位に、すでに逆転した秋吉石灰岩がほぼ水平に重なったと考えられる。
【結果】野外及び室内での観察から、次の4つの結果が得られた。
常森層の泥岩中に挟在する砂層の堆積構造の観察に基づき17ヶ所において上下判定を行うことができた。本地域の地質構造は、南傾斜・北傾斜の二つの傾斜方向を示し、いずれも大局的に北上位を示す。傾斜方向の変化により逆転層・正常層の両方が存在する。本地域の常森層は、層序的下位から上位に向けて砂岩、泥岩と累重し、付加体に特徴的なチャート砕屑岩シーケンスに当てはまらない。石炭化していない木片や最大1.8 cmの植物化石が砂岩から産出する。本地域の天竺山においては、秋吉石灰岩の一部である結晶質石灰岩が、常森層の構造的上位にほぼ水平に、常森層の地質構造を斜交するように分布する。
【考察】観察結果に基づき以下のような解釈を行った。
観察結果から北フェルゲンツの軸面を持つ転倒褶曲が想定される。層序、化石および木片の観察結果より、常森層の堆積環境は海溝ではなく、より陸に近い場所ではないかと考察される。現在の北側に対し、南側が持ち上がるような力が加わり、北フェルゲンツの軸面を持つ転倒褶曲が形成され、この常森層の構造的上位に、すでに逆転した秋吉石灰岩がほぼ水平に重なったと考えられる。