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[SGL24-P09] 東京湾周辺の前弧海盆堆積物を繋ぐ鮮新世の指標テフラと海底地すべりによる地層の欠如
キーワード:前弧海盆堆積物、上総層群、三浦層群、テフラ対比、海底地すべり
東京湾周辺の地下と地表には後期中新世から更新世の前弧海盆堆積物が分布し,特に房総半島と三浦半島で広く陸上に露出する.これらの前弧海盆堆積物は日本列島の同時代の模式層序を提供するとともにプレート沈み込みと島弧衝突テクトニクスを記録している.しかし前弧海盆の発達様式の変化とされる房総半島の黒滝不整合(3から2.4 Ma)が三浦半島や東京湾西岸の地下では認められないなど,東京湾を隔てた東西の層序学的な関係は未だ不明な点が多い.著者らは房総半島と三浦半島の鮮新統に挟在するテフラ層の層序と火山ガラスの岩石学的特徴および化学組成を検討した.その結果,逗子層最上部(三浦半島)のテフラ層が清澄層(房総半島)のKy25に対比可能であることが明らかとなり,それぞれの上位にあるテフラ層NtとKy26の対比が裏付けられた.また池子層(三浦半島)に挟在する2枚のテフラ層が安野層(房総半島)の2枚のテフラ層に対比されることが明らかになり,それらがいずれも先行研究で認定されているMammoth逆磁極亜帯上限(3.2 Ma)付近に挟在することと整合的である.これらのテフラ層は鮮新世の指標テフラとして重要であり,清澄層,安野層及び池子層を補完的に調査することで鮮新世のほぼ連続的な古環境記録が得られると考えられる.また今回のテフラ対比と堆積物の特徴から,三浦半島の調査地域では,黒滝不整合に先立つ3.2 Maの海底地すべりにより房総半島の清澄層最上部から安野層の大部分(4.5から3.2 Ma)に相当する層準が欠如していることが明らかになった.