11:00 〜 13:00
[SGL24-P10] 堆積岩のガラス化温度測定の試み-熱重量示差熱同時測定によるアプローチ
キーワード:堆積岩、融点
1.はじめに
地震発生時, 断層面の岩石が融解すると, 摩擦係数が低下しすべり量が増加する. 摩擦係数の変化の過程は円柱もしくは円筒状の試料2個を押し付けながら回転させ剪断摩擦を起こす実験にて測定されている(e.g. Hung et al, 2019). これらの実験では鉱物組成から岩石の融点が推定されている. しかし, サーモグラフィーなどを用いた温度の測定では鉱物組成から推定される融点よりも低い温度が融点として測定される(Hung et al, 2019).これらを踏まえ熱力学的な測定方法を用いて, 岩石が熔融する温度の測定を試みた.
2.試料及び方法
岩石サンプルは房総半島の西岬層から採取したシルト岩を利用した.岩石サンプルを鉄乳鉢と鉄乳棒を用いて粉砕し粉末試料とした. 粉末試料はそれぞれ岩石の鉱物組成の測定にXRD分析, 分析機器の温度範囲内で融解するか確認することを目的に電気炉での熔融実験,融点などの測定のためにTG-DTAの測定を行った.電気炉での熔融はアルミナ製の燃焼ボートに粉末試料を約100mg入れ, 電気炉で1500℃まで加熱を行った.TG-DTAの測定はTG8120を利用した. TG-DTAは粉末状にした試料と測定したい温度域で熱特性の変化がほとんど起こらない標準物質を, 電気炉を用い, 一定速度で加熱していき, 試料, 標準試料の質量差(TG), 試料と標準試料の温度差である示差熱(DTA)を測定する熱分析法である. TGの温度変化を表したTG曲線, DTAの温度変化を示すDTA曲線が検出される. TG曲線, DTA曲線の変化を測定し, 熱変化を測定する.粉末試料を15 mg程度秤量し, -α-Al2O3製のサンプルパンに入れ測定を行った. 標準試料としてAl2O3を15 mg程度用いた. 測定プログラムとしては800℃まで20K/minで加熱, 50℃まで冷却, 1300℃まで10K/minで加熱, 50℃まで冷却, 1300℃まで10K/minで加熱とした.
3.結果・考察
XRD分析で測定された鉱物は石英が主成分で曹長石, 方解石, ハロイサイトなどが含まれている.電気炉で加熱した試料では融解した可能性を示すガラス質の光沢が確認できた.TG-DTAの測定の結果, DTA曲線に1130℃付近, 1270℃付近で吸熱ピークがみられる.TG-DTAを測定したサンプルを容器から回収し, XRD分析を行った. 石英, 曹長石, 方解石のピークがなくなり, ブロードなピークが確認できた.電気炉での試料の観察, TG-DTAにて測定されたピーク, XRDスペクトルのピーク変化から試料が融解しガラス質の物質が形成されたとみられる. 融点はおよそ1100℃から1300℃の間にあると考えられる.
地震発生時, 断層面の岩石が融解すると, 摩擦係数が低下しすべり量が増加する. 摩擦係数の変化の過程は円柱もしくは円筒状の試料2個を押し付けながら回転させ剪断摩擦を起こす実験にて測定されている(e.g. Hung et al, 2019). これらの実験では鉱物組成から岩石の融点が推定されている. しかし, サーモグラフィーなどを用いた温度の測定では鉱物組成から推定される融点よりも低い温度が融点として測定される(Hung et al, 2019).これらを踏まえ熱力学的な測定方法を用いて, 岩石が熔融する温度の測定を試みた.
2.試料及び方法
岩石サンプルは房総半島の西岬層から採取したシルト岩を利用した.岩石サンプルを鉄乳鉢と鉄乳棒を用いて粉砕し粉末試料とした. 粉末試料はそれぞれ岩石の鉱物組成の測定にXRD分析, 分析機器の温度範囲内で融解するか確認することを目的に電気炉での熔融実験,融点などの測定のためにTG-DTAの測定を行った.電気炉での熔融はアルミナ製の燃焼ボートに粉末試料を約100mg入れ, 電気炉で1500℃まで加熱を行った.TG-DTAの測定はTG8120を利用した. TG-DTAは粉末状にした試料と測定したい温度域で熱特性の変化がほとんど起こらない標準物質を, 電気炉を用い, 一定速度で加熱していき, 試料, 標準試料の質量差(TG), 試料と標準試料の温度差である示差熱(DTA)を測定する熱分析法である. TGの温度変化を表したTG曲線, DTAの温度変化を示すDTA曲線が検出される. TG曲線, DTA曲線の変化を測定し, 熱変化を測定する.粉末試料を15 mg程度秤量し, -α-Al2O3製のサンプルパンに入れ測定を行った. 標準試料としてAl2O3を15 mg程度用いた. 測定プログラムとしては800℃まで20K/minで加熱, 50℃まで冷却, 1300℃まで10K/minで加熱, 50℃まで冷却, 1300℃まで10K/minで加熱とした.
3.結果・考察
XRD分析で測定された鉱物は石英が主成分で曹長石, 方解石, ハロイサイトなどが含まれている.電気炉で加熱した試料では融解した可能性を示すガラス質の光沢が確認できた.TG-DTAの測定の結果, DTA曲線に1130℃付近, 1270℃付近で吸熱ピークがみられる.TG-DTAを測定したサンプルを容器から回収し, XRD分析を行った. 石英, 曹長石, 方解石のピークがなくなり, ブロードなピークが確認できた.電気炉での試料の観察, TG-DTAにて測定されたピーク, XRDスペクトルのピーク変化から試料が融解しガラス質の物質が形成されたとみられる. 融点はおよそ1100℃から1300℃の間にあると考えられる.