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[SMP27-05] 変形に起因する藍晶石から紅柱石への相転移:ボヘミア地塊南部Gföhlグラニュライトの例
キーワード:藍晶石、紅柱石、相転移、延性剪断帯、Gföhlグラニュライト
紅柱石、藍晶石および珪線石のAl2SiO5鉱物は多形の代表的な例であり、紅柱石から珪線石や藍晶石への相転移は温度や圧力の上昇に伴って起こるが、温度や圧力が低下しても珪線石や藍晶石が紅柱石へと相転移することは稀である。本発表では、ボヘミア地塊南部Gföhlグラニュライト中に発達する延性剪断帯における、変形に起因した藍晶石から紅柱石への相転移の例を報告する。
この延性剪断帯はマイロナイト形成を伴う塑性剪断変形とシュードタキライト形成を伴う脆性剪断変形を繰り返し受けており、脆性-塑性遷移領域において形成されたと考えられる。塑性剪断変形を受けた珪長質グラニュライトは弱変形マイロナイト、強変形マイロナイトおよびフィロナイトに区分され、ポーフィロクラスト含有量はそれぞれ22%、13%、2%で、この順に塑性剪断変形が進行していることを示している。塑性剪断変形に伴ってカリ長石のミルメカイトへの分解反応が進行している。紅柱石は剪断歪γが20以上の領域に頻繁に出現するようになり、藍晶石を部分的に置換している様子も観察される。Al2SiO5鉱物中の各鉱物の割合は、延性剪断帯外部では藍晶石約95%、珪線石約 5%で紅柱石は含まれないが、弱変形マイロナイトでは藍晶石約87%、珪線石約 7%、紅柱石約 7%、強変形マイロナイトでは藍晶石約58%、珪線石約16%、紅柱石26%、フィロナイトでは藍晶石約33%、珪線石約 9%、紅柱石58%であった。このように塑性剪断変形の進行に伴い、珪線石には系統的な変化は認められないが、藍晶石が顕著に減少して紅柱石が顕著に増加しており、塑性剪断変形が藍晶石から紅柱石への相転移を促進したと考えられる。
延性剪断帯外部のざくろ石コア、黒雲母、斜長石の化学組成から地質温度計・圧力計により推定された温度・圧力は910~920°C、1.9~2.1 GPaで、これはエクロジャイト相のピーク変成時の温度・圧力を示すと考えられる。一方、延性剪断帯内部のミルメカイト斜長石とこれに隣接するカリ長石の化学組成、およびざくろ石とこれに隣接する黒雲母の化学組成から推定された温度は、紅柱石安定領域の圧力を300 MPaを仮定すると420~475°Cで、延性剪断帯内部の結晶塑性変形した石英のc軸配列パターンから推定される温度範囲とも調和的であった。
この延性剪断帯はマイロナイト形成を伴う塑性剪断変形とシュードタキライト形成を伴う脆性剪断変形を繰り返し受けており、脆性-塑性遷移領域において形成されたと考えられる。塑性剪断変形を受けた珪長質グラニュライトは弱変形マイロナイト、強変形マイロナイトおよびフィロナイトに区分され、ポーフィロクラスト含有量はそれぞれ22%、13%、2%で、この順に塑性剪断変形が進行していることを示している。塑性剪断変形に伴ってカリ長石のミルメカイトへの分解反応が進行している。紅柱石は剪断歪γが20以上の領域に頻繁に出現するようになり、藍晶石を部分的に置換している様子も観察される。Al2SiO5鉱物中の各鉱物の割合は、延性剪断帯外部では藍晶石約95%、珪線石約 5%で紅柱石は含まれないが、弱変形マイロナイトでは藍晶石約87%、珪線石約 7%、紅柱石約 7%、強変形マイロナイトでは藍晶石約58%、珪線石約16%、紅柱石26%、フィロナイトでは藍晶石約33%、珪線石約 9%、紅柱石58%であった。このように塑性剪断変形の進行に伴い、珪線石には系統的な変化は認められないが、藍晶石が顕著に減少して紅柱石が顕著に増加しており、塑性剪断変形が藍晶石から紅柱石への相転移を促進したと考えられる。
延性剪断帯外部のざくろ石コア、黒雲母、斜長石の化学組成から地質温度計・圧力計により推定された温度・圧力は910~920°C、1.9~2.1 GPaで、これはエクロジャイト相のピーク変成時の温度・圧力を示すと考えられる。一方、延性剪断帯内部のミルメカイト斜長石とこれに隣接するカリ長石の化学組成、およびざくろ石とこれに隣接する黒雲母の化学組成から推定された温度は、紅柱石安定領域の圧力を300 MPaを仮定すると420~475°Cで、延性剪断帯内部の結晶塑性変形した石英のc軸配列パターンから推定される温度範囲とも調和的であった。