日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS04] Seismic Spectra for Source, Subsurface Structure, and Strong-motion Studies

2022年5月31日(火) 09:00 〜 11:00 オンラインポスターZoom会場 (17) (Ch.17)

コンビーナ:内出 崇彦(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門)、コンビーナ:Abercrombie Rachel E(Boston University)、Ma Kuo-Fong(Institute of Geophysics, National Central University, Taiwan, ROC)、コンビーナ:染井 一寛(一般財団法人地域地盤環境研究所)、座長:内出 崇彦(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門)、Rachel E Abercrombie(Boston University)、Ma Kuo-Fong(Institute of Geophysics, National Central University, Taiwan, ROC)、染井 一寛(一般財団法人地域地盤環境研究所)


09:00 〜 11:00

[SSS04-P01] 地震波構造の不均質性を考慮した散乱波からの震源特性の推定手法の提案

*小木曽 仁1 (1.気象庁気象研究所)

キーワード:コーダ波、震源特性、地震波エンベロープ

コーダ波は震源特性の推定に広く活用されてきた。特にS波走時の2倍の時刻より後のコーダ波は震源とサイト増幅特性が強く反映されていると仮定され、その特徴を生かして震源特性が推定されてきた。しかし、近年の稠密な地震観測網から得られるデータによって、地震波速度や内部減衰、さらには地震波散乱パラメータの3次元不均質性が明らかにされてきた。このことは、コーダ波を用いた解析の際にも構造不均質性を考慮する必要性を示唆する。
 本研究では、地震波の全エンベロープを用いた震源特性の推定手法を提案する。狭帯域のバンドパスフィルタをかけた観測エンベロープは、震源項とサイト特性項、そして地震波エンベロープのグリーン関数の積で表現できると仮定する。地震波エンベロープは輻射伝達理論とボルン近似に基づいたモンテカルロ法で、3次元速度構造のもとで合成する。観測エンベロープの形状を最も説明する内部減衰と散乱パラメータの値を各震源-観測点ペアごとに推定することで、内部減衰と散乱パラメータの不均質性を考慮することとした。こうしてエンベロープのグリーン関数を推定したのち、震源項とサイト特性を適切な拘束条件のもとで同時推定する、という流れである。
 関東・中部地方で発生した深さ100km以浅、気象庁マグニチュードが3から4.5の地震に対して、1-2Hzと2-4Hzの帯域にて提案手法を適用した。どちらの周波数帯においても、得られた震源項の対数値はマグニチュードと比例していた。深さ60km以深と30km以浅の地震の震源項を比較すると、マグニチュードが同一であっても深さ60km以深の地震の震源項のほうが大きくなる傾向が見られた。今後は震源項の地域性についても検討する予定である。

謝辞
本研究では防災科研Hi-netの観測波形を使用しました。本研究の一部はJSPS科研費JP18K13622及びJP21K14002の援助を受けました。