11:00 〜 13:00
[SSS10-P12] 1943年鳥取地震による吉岡断層近傍における微動および重力観測-鳥取市大塚地区-
キーワード:吉岡断層、1943年鳥取地震、微動、重力異常、地盤構造
1943年の鳥取地震により生じた吉岡断層おいて,地震断層ごく近傍の地盤構造を把握するために,微動観測が行われており,断層に伴う地下構造の変化が示唆されている(野口他,2021).本研究では,吉岡断層ごく近傍の地表変位が確認されている(西田他,1993,金田他,2002)大塚地区で稠密な微動および重力観測を実施し,地下構造を調べた.
微動観測については,単点3成分観測を167点,アレイ観測を3地点で行った.4台の地震計を円の中心に1台,円周上に3台を等間隔に配置し,アレイ半径1,5,10,30mとして観測した.地震計はJU410(白山工業)を用い,サンプリング周波数は両観測とも200Hzとした.観測時間は単点3成分観測では1か所につき10分間,アレイ観測では1展開につき15分間とした.重力観測については,ラコステロンバーグ重力計を用いて102点で行った.位置決定にはGNSS測量機を用いた.
微動記録の解析としては,単点3成分観測の記録については,各成分のフーリエスペクトルを求め,水平動と上下動のスペクトル比(H/V)を求め,卓越周期,ピーク値,形状などの特徴を調べた.また,断層を横切るライン上の観測点では,微動波形から10秒間抽出し,0.1~0.5秒のバンドパスフィルターをかけ粒子軌跡を求めて比較した.アレイ観測の同時記録についてはCCA法(Cho, et. al.,2007)に基づき位相速度を推定した.得られた位相速度とアレイ中心のH/Vから,レイリー波基本モードによるフォワードモデリングによりS波速度構造を推定した.
重力の解析については,今回測定したデータと既往のデータと用いて,仮定密度2.5 g/cm^3の重力異常を求めた.フィルター処理により長波波長成分を除去した重力異常を算出した.さらに,微動観測による地下構造モデルを参考に2次元で地下構造を推定した.
微動観測の解析結果について,形状や卓越周期に違いがみられた.H/V形状として,鳥取地震の地震断層線より北側は0.4秒付近に明瞭に一つみられ,南側で0.2秒付近と0.5秒付近に複数みられる地点が分布していた.また,断層線近傍では水平動の方向(NS,EW方向)でH/Vの形状が異なる地点が固まって分布することもわかった.地下構造モデルも断層近傍とそれ以外の地点で異なることもわかった.
重力観測の解析結果より,断層線の近傍でその走行方向に沿って,北側から南側にかけ急激な重力異常の変化がみられた.2層モデル(表層2.1g/cm^3,基層2.5 g/cm^3)の密度構造解析より,南落ちの基盤の落差を推定できた.
参考文献:野口・他(2021):土木学会論文集A1(構造・地震工学)Vol.72,No.4,[特]地震工学論文集,西田・他(1993):鳥取大学教養部紀要,27,金田・他(2002):活断層研究,Vol.2002,No.21.,Cho, et. al.(2006):J. Geophys. Res. 111
微動観測については,単点3成分観測を167点,アレイ観測を3地点で行った.4台の地震計を円の中心に1台,円周上に3台を等間隔に配置し,アレイ半径1,5,10,30mとして観測した.地震計はJU410(白山工業)を用い,サンプリング周波数は両観測とも200Hzとした.観測時間は単点3成分観測では1か所につき10分間,アレイ観測では1展開につき15分間とした.重力観測については,ラコステロンバーグ重力計を用いて102点で行った.位置決定にはGNSS測量機を用いた.
微動記録の解析としては,単点3成分観測の記録については,各成分のフーリエスペクトルを求め,水平動と上下動のスペクトル比(H/V)を求め,卓越周期,ピーク値,形状などの特徴を調べた.また,断層を横切るライン上の観測点では,微動波形から10秒間抽出し,0.1~0.5秒のバンドパスフィルターをかけ粒子軌跡を求めて比較した.アレイ観測の同時記録についてはCCA法(Cho, et. al.,2007)に基づき位相速度を推定した.得られた位相速度とアレイ中心のH/Vから,レイリー波基本モードによるフォワードモデリングによりS波速度構造を推定した.
重力の解析については,今回測定したデータと既往のデータと用いて,仮定密度2.5 g/cm^3の重力異常を求めた.フィルター処理により長波波長成分を除去した重力異常を算出した.さらに,微動観測による地下構造モデルを参考に2次元で地下構造を推定した.
微動観測の解析結果について,形状や卓越周期に違いがみられた.H/V形状として,鳥取地震の地震断層線より北側は0.4秒付近に明瞭に一つみられ,南側で0.2秒付近と0.5秒付近に複数みられる地点が分布していた.また,断層線近傍では水平動の方向(NS,EW方向)でH/Vの形状が異なる地点が固まって分布することもわかった.地下構造モデルも断層近傍とそれ以外の地点で異なることもわかった.
重力観測の解析結果より,断層線の近傍でその走行方向に沿って,北側から南側にかけ急激な重力異常の変化がみられた.2層モデル(表層2.1g/cm^3,基層2.5 g/cm^3)の密度構造解析より,南落ちの基盤の落差を推定できた.
参考文献:野口・他(2021):土木学会論文集A1(構造・地震工学)Vol.72,No.4,[特]地震工学論文集,西田・他(1993):鳥取大学教養部紀要,27,金田・他(2002):活断層研究,Vol.2002,No.21.,Cho, et. al.(2006):J. Geophys. Res. 111