日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS10] 強震動・地震災害

2022年6月1日(水) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (22) (Ch.22)

コンビーナ:松元 康広(株式会社構造計画研究所)、コンビーナ:鈴木 亘(国立研究開発法人防災科学技術研究所)、座長:染井 一寛(一般財団法人地域地盤環境研究所)

11:00 〜 13:00

[SSS10-P21] RGBDカメラと機械学習を用いた簡易的な家具や非構造部材の地震時応答予測システムの構築

*高橋 佑汰1上松 大輝1金 亜伊1、正月 俊行2 (1.横浜市立大学、2.株式会社構造計画研究所)


地震時における自宅周辺の危険は自治体の発行するハザードマップから知ることができ、個人の防災、減災対策に非常に有効である。しかし、自宅の中における危険を知ることは、建物内外の状況に強く影響されるため難しい。地震時における室内の危険を知る手法の1つに、現実の空間を3Dモデルに置き換えてシミュレーションを行うというものがある。しかし、そのようなモデリングを行うためにはコストと時間がかかるため、個人宅の室内を気軽にシミュレーションすることは容易ではない。この問題を解決する1つの案として、3Dモデルの作成からシミュレーションまでの一連の作業を自動化することが挙げられる。そこで本研究では、住宅等に設置できる比較的安価なIoT MEMSセンサーとRGB-Dを組み合わせ、建物の状態や災害情報のモニタリング、及び地震動に対する室内の応答を予測するシステムの開発を目指す。具体的には、IoT MEMSセンサーにRGB-DカメラをRaspberry Piに取り付け、物体を検出してそれらを3Dモデル化し、地震動に対する揺れを再現するシミュレーションを行い、部屋に潜む危険を予測する仕組みを構築する。危険予測のためには、家具などの部屋の構造を3Dモデル化する必要がある。そのためには、①RGB画像の撮影とその距離を測る深度センサーのあるRGB-Dカメラを用いて室内を撮影する。②RGB-DカメラでRGB画像とその深度情報から点群データを撮影し、部屋を3Dモデル化する。③RGB-Dカメラで撮影したRGB画像や3Dモデルを様々な角度から撮影した画像などを機械学習によって物品を特定し、家具の大きさから質量や摩擦係数などの物理係数を3Dモデルに割り当てる。物品の特定には、既存の機械学習による物体検出学習済みモデルを本研究の用途に合うようにファインチューニングを行う。このようにして作成したモデルに地震動を入力する事で室内の家具の挙動をシミュレーションする。シミュレーションに用いる入力地震動にはシナリオ地震などをいくつか用意し、建物内と建物敷地地表面に設置したIoT MEMSセンサーが記録した地震波形から抽出した建物の応答特性を掛け合わせる予定である。応答特性はIoT MEMSセンサーが地震を経験する度に更新され、シミュレーションの精度向上に貢献すると考えられる。また、地震発生前後の室内の状況を画像などで把握し、家具の物理係数を更新することでもシミュレーションの精度が向上すると見込まれる。本発表では、E-ディフェンスの室内加振実験で得られたデータを上記手法により3Dモデル化してシミュレーションを行い、実際の実験結果との比較からその性能を評価する。