日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS11] 地震活動とその物理

2022年5月25日(水) 10:45 〜 12:15 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:楠城 一嘉(静岡県立大学)、コンビーナ:直井 誠(京都大学)、座長:楠城 一嘉(静岡県立大学)、勝俣 啓(北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター)

11:00 〜 11:15

[SSS11-08] 1975年北海道東方沖の津波地震の震源域で発生したスロースリップによって誘発された群発地震と地震活動静穏化

*勝俣 啓1 (1.北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター)

キーワード:地震活動の静穏化、群発地震、千島列島

1969年北海道東方沖地震と1975年北海道東方沖の津波地震の震源域における特異な地震活動について報告する.まず,2003年2月と2019年12月に群発地震が観測された.その後16年以上に渡り地震活動の長期静穏化が継続している.この群発地震と長期静穏化という2つの現象は,1975年北海道東方沖の津波地震の震源域でスロースリップが発生したと考えると説明できそうだ.1975年と1969年は共に沈み込む太平洋プレート上面の地震で震源域は隣接しているが,1975年が千島海溝軸に近く,1969年は海溝軸から少し離れている(Ioki and Tanioka, 2016).1975年の地震は津波地震であったことから,この付近はゆっくりとした断層滑りが起きやすい場所であると考えられる.2003年2月に1975年地震と同じ断層面上でスロースリップが発生し,群発地震活動が誘発された.そしてスロースリップの断層面のdown-dip側のスラブ内では,圧縮応力が加わり,down-dip方向の伸張応力が減少する.その結果,太平洋スラブ内部で発生していたdown-dip-extension型の地震活動が減少した,という可能性がある.このような見方をすると,2019年12月の群発地震活動も2003年と同様,1975年地震断層面上でのスロースリップが原因であろう.