日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS12] 活断層と古地震

2022年5月22日(日) 13:45 〜 15:15 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、コンビーナ:白濱 吉起(国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センター活断層火山研究部門活断層評価研究グループ)、佐藤 善輝(産業技術総合研究所 地質情報研究部門 平野地質研究グループ)、コンビーナ:吉見 雅行(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、座長:吉見 雅行(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、石山 達也(東京大学地震研究所)

14:30 〜 14:45

[SSS12-03] 台東区入谷駅付近における東京層上部層及び沖積層の変形構造-飛鳥山断層の南東端部?

*豊蔵 勇1 (1.ジオ・とよくら技術士事務所)

キーワード:活断層、首都直下地震、山の手台地の伏在活断層、飛鳥山断層

1. はじめに
発表者は、かつて山の手台地北東縁崖下にNW-SE系の伏在第四紀断層の分布可能性についての予察的な検討結果を報告した(豊蔵ほか、2014)。その際、山の手台地を流れる石神井川および谷端川がその流路をほぼ東流していたものが山の手台地東縁部付近では南東流と方向を転換していること、その代表的な屈曲として石神井川が飛鳥山の西側でそれまで東流してきていた流路がほぼ直角に屈曲していることと、飛鳥山の付近の赤羽台地の段丘面が上流向きの傾斜を示すとみられることから、台地北東縁の崖下に活構造の存在が示唆される可能性があることを論じた。しかし、台地東縁部を横断する地質断面では、明確な証拠を示すことができなかった。
本発表では、東京メトロ・日比谷線の建設工事誌に掲載されている工事によって作成された上野駅から三ノ輪駅付近までの地質断面図を基に、東京都等で公開されている地質柱状図を用いて、東京層上部層から完新統の変形構造が認められることから、入谷駅付近に伏在活断層が分布する可能性およびその断層はNW-SE方向に続く可能性を論ずる。
2.日比谷線の工事誌地質断面図について
図1に日比谷線の工事誌地質断面図のうち、上野駅から三ノ輪駅付近までの地質断面図およびその周辺の東京都の地盤(GIS版)で公表されているボーリング位置図を示した。また、地質断面図では、層相毎に着色して示した。入谷駅付近の東京層上部層が3~5度程度三ノ輪駅側に傾斜しており、また、部分的に波打つように変形していることが読み取れる。
また、路線沿いの地質柱状図を参考にすると、明瞭な変形構造が見いだされる可能性があることを示す。
3.変形構造の延長について
 本断面図周辺の地質柱状図に基づき、この変形構造の延長性について検討した結果、NW-SE方向の可能性が高いことおよび飛鳥山断層の存在の可能性を論じる。