11:00 〜 13:00
[SSS12-P02] 飛騨高原北部に分布する稲越断層・太江断層・畦畑断層・数河断層
の活断層調査
キーワード:活断層露頭、稲越断層、太江断層、畦畑断層、数河断層
中部地方は日本でも有数の活断層地帯であり,その中でも飛騨高原北部には,北東-南西系の右横ずれ活断層が隣接して複数分布する.このような活断層が密集している地域の断層運動を解明するためには,個々の活断層の活動性に関する情報を得ることが重要である.この地域に分布する稲越断層・太江断層・畦畑断層・数河断層は,周囲に分布する牛首断層帯,跡津川断層帯,高山・大原断層帯に比べて活動性に関する情報が少なく,平均変位速度や活動時期に関する情報はほとんど得られていない.本発表では,上記の4条の活断層を対象に実施した地形・地質踏査の成果を報告する.
【稲越断層】
これまでに断層東部の稲越川沿い及び断層西部において活断層露頭や活動時期が確認されている(岐阜県活断層研究会, 2008;田村ほか, 2021;中村ほか, 2021).中村ほか(2021)において,断層中央部の下小鳥ダム付近で角礫層と頁岩を境する断層を確認した.その断層露頭の延長にある尾根の屈曲部におけるハンドオーガー掘削の結果,南側隆起の活断層が推定された.
【太江断層】
2007年に撮影された空中写真を判読すると,断層の西端付近の道路工事法面で断層が見られ,その地表部では北西-南東方向に低崖が続くことを確認した.そこで,道路工事前の1977 年に撮影された空中写真をDSM 化し,断層による変位量の推定を試みたところ,断層の西端付近で約 4m の上下変位量が推定され, 南東方向に行くにつれ変位量が減少する傾向がみられた.また,太江断層西端付近において道路壁面が崩壊し,崩落部で砂礫層と粘土層の境界を観察した.放射性炭素年代測定の結果,境界付近の砂礫層の年代値は約2.9万年前であった.
【畦畑断層】
小鳥山牧場の山地斜面の傾斜が緩くなる地点において,地中レーダ探査,ハンドオーガー掘削及びテフラ分析を実施した結果,山地斜面の構成層中からK-Tzテフラが検出された.これらのことから,約10万年前以降に少なくとも1m以上の上下変位が認められる.
【数河断層】
全域に系統的な右横ずれの谷の屈曲は認められるものの,本研究においては地質学的な活断層の痕跡を確認できていない.
今後,本研究で調査した4条の活断層において活動時期を明らかにし,これらの活断層の関連性を明らかにすることが課題である.
【稲越断層】
これまでに断層東部の稲越川沿い及び断層西部において活断層露頭や活動時期が確認されている(岐阜県活断層研究会, 2008;田村ほか, 2021;中村ほか, 2021).中村ほか(2021)において,断層中央部の下小鳥ダム付近で角礫層と頁岩を境する断層を確認した.その断層露頭の延長にある尾根の屈曲部におけるハンドオーガー掘削の結果,南側隆起の活断層が推定された.
【太江断層】
2007年に撮影された空中写真を判読すると,断層の西端付近の道路工事法面で断層が見られ,その地表部では北西-南東方向に低崖が続くことを確認した.そこで,道路工事前の1977 年に撮影された空中写真をDSM 化し,断層による変位量の推定を試みたところ,断層の西端付近で約 4m の上下変位量が推定され, 南東方向に行くにつれ変位量が減少する傾向がみられた.また,太江断層西端付近において道路壁面が崩壊し,崩落部で砂礫層と粘土層の境界を観察した.放射性炭素年代測定の結果,境界付近の砂礫層の年代値は約2.9万年前であった.
【畦畑断層】
小鳥山牧場の山地斜面の傾斜が緩くなる地点において,地中レーダ探査,ハンドオーガー掘削及びテフラ分析を実施した結果,山地斜面の構成層中からK-Tzテフラが検出された.これらのことから,約10万年前以降に少なくとも1m以上の上下変位が認められる.
【数河断層】
全域に系統的な右横ずれの谷の屈曲は認められるものの,本研究においては地質学的な活断層の痕跡を確認できていない.
今後,本研究で調査した4条の活断層において活動時期を明らかにし,これらの活断層の関連性を明らかにすることが課題である.