11:00 〜 13:00
[SSS12-P03] 横手盆地東縁断層帯に平行する測線における反射法地震探査
キーワード:横手盆地東縁断層帯、反射法地震探査、地下構造、活断層
本研究では横手盆地東縁断層帯について,1896年の陸羽地震(MJMA = 7.2)の際に明瞭な地表変位を生じた(例えば,山崎, 1896; 松田ほか, 1980)北部区間と,地表地震断層の出現が報告されていない南部区間で,地下構造の特徴にどのような違いがあるかを明らかにするために,断層の走向方向とほぼ平行な測線において反射法地震探査を実施した.本発表では今回得られた反射法地震探査断面と,同断層帯周辺地域の重力探査結果(木村他,2021, JpGU)および活断層・地表地震断層分布との関係について速報する.
横手盆地東縁断層帯は,秋田県仙北市から同湯沢市に至る,南北走向で総延長約56 km,上下変位レートが1.0 mm/yr程度の活断層帯である(地震調査研究推進本部地震調査委員会, 2005).同断層帯は主として東側隆起の逆断層であり,大局的には横手盆地と東方の山地との境界に沿うように分布している.1896年の陸羽地震では,同断層帯の北部(約26 km,白岩断層・太田断層・千屋断層・金沢断層北部)に沿って明瞭な地表地震断層が出現した(例えば,山崎, 1896; 松田ほか, 1980).一方,同断層帯の南部(約30 km,金沢断層南部・杉沢断層・大森山断層)では顕著な地表変位は報告されていない.
本研究では,秋田県仙北郡美郷町の善知鳥(うとう)川上流付近から,みずほの里ロード沿線の南方へ至る約15 km の測線でP波反射法地震探査を実施した.探査測線は,横手盆地東縁断層帯の地表トレース(今泉ほか, 2018)にほぼ平行に設定した.発震は大型バイブレータ震源(米国IVI社製のHEMI-40)で行い,標準発震点間隔は25 m である.標準受振点間隔は25 m として,460 ch 以上を同時収録し,サンプリング間隔は2 ms である.データ収録には独立型レコーダ(米国Geospace社製のGSX, GSR)を用いた.取得データに対して,一般的な共通中間点重合法によるデータ処理(例えば,物理探査学会, 2016)を行い,マイグレーション深度変換断面から,深度約 3 km 程度までの地下構造をイメージングすることができた.
得られた断面では,断層北部区間のCDP 200-400番, 南部区間の600-700番, 750-1088番では比較的連続性が良く,ほぼ水平な反射面が卓越している.それらは北部と南部で分布深度の下端が異なっており,北部区間では深さ 2000 m程度,南部区間ではより深部の3000m程度まで見られる.一方,CDP 1-150番, 450-650番 では500 m以深で振幅が小さい.1896年地震時の地表地震断層の南端はCDP 400番付近に相当し,この付近の北方では連続性の良い反射面が多く存在するのに対して,南方の400-600番 では反射面は不明瞭である.つまり,地表での破壊停止点付近を境に地下の構造も変化していることがわかった.先行研究の重力探査により得られた残差重力異常図では,破壊停止点付近が重力異常の急変部に相当していた(木村他,2021, JpGU).反射法地震探査のCDP400番周辺はこの重力異常の急変帯に対応している.また,重力異常値の変化に対応して,断面深部の反射面の傾斜が変化する可能性も示唆された.すなわち,重力探査の結果と同様に,反射法地震探査でも,地表での破壊停止点周辺において地下構造の特徴が南北方向で変化することが明らかになった.今後は,地質の分布や断層帯を横断する既存の反射法地震探査結果との比較を行い,より詳細な地質構造の解釈を進める.
横手盆地東縁断層帯は,秋田県仙北市から同湯沢市に至る,南北走向で総延長約56 km,上下変位レートが1.0 mm/yr程度の活断層帯である(地震調査研究推進本部地震調査委員会, 2005).同断層帯は主として東側隆起の逆断層であり,大局的には横手盆地と東方の山地との境界に沿うように分布している.1896年の陸羽地震では,同断層帯の北部(約26 km,白岩断層・太田断層・千屋断層・金沢断層北部)に沿って明瞭な地表地震断層が出現した(例えば,山崎, 1896; 松田ほか, 1980).一方,同断層帯の南部(約30 km,金沢断層南部・杉沢断層・大森山断層)では顕著な地表変位は報告されていない.
本研究では,秋田県仙北郡美郷町の善知鳥(うとう)川上流付近から,みずほの里ロード沿線の南方へ至る約15 km の測線でP波反射法地震探査を実施した.探査測線は,横手盆地東縁断層帯の地表トレース(今泉ほか, 2018)にほぼ平行に設定した.発震は大型バイブレータ震源(米国IVI社製のHEMI-40)で行い,標準発震点間隔は25 m である.標準受振点間隔は25 m として,460 ch 以上を同時収録し,サンプリング間隔は2 ms である.データ収録には独立型レコーダ(米国Geospace社製のGSX, GSR)を用いた.取得データに対して,一般的な共通中間点重合法によるデータ処理(例えば,物理探査学会, 2016)を行い,マイグレーション深度変換断面から,深度約 3 km 程度までの地下構造をイメージングすることができた.
得られた断面では,断層北部区間のCDP 200-400番, 南部区間の600-700番, 750-1088番では比較的連続性が良く,ほぼ水平な反射面が卓越している.それらは北部と南部で分布深度の下端が異なっており,北部区間では深さ 2000 m程度,南部区間ではより深部の3000m程度まで見られる.一方,CDP 1-150番, 450-650番 では500 m以深で振幅が小さい.1896年地震時の地表地震断層の南端はCDP 400番付近に相当し,この付近の北方では連続性の良い反射面が多く存在するのに対して,南方の400-600番 では反射面は不明瞭である.つまり,地表での破壊停止点付近を境に地下の構造も変化していることがわかった.先行研究の重力探査により得られた残差重力異常図では,破壊停止点付近が重力異常の急変部に相当していた(木村他,2021, JpGU).反射法地震探査のCDP400番周辺はこの重力異常の急変帯に対応している.また,重力異常値の変化に対応して,断面深部の反射面の傾斜が変化する可能性も示唆された.すなわち,重力探査の結果と同様に,反射法地震探査でも,地表での破壊停止点周辺において地下構造の特徴が南北方向で変化することが明らかになった.今後は,地質の分布や断層帯を横断する既存の反射法地震探査結果との比較を行い,より詳細な地質構造の解釈を進める.