日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT38] 地震観測・処理システム

2022年5月31日(火) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (26) (Ch.26)

コンビーナ:鈴木 亘(国立研究開発法人防災科学技術研究所)、コンビーナ:松元 康広(株式会社構造計画研究所)、座長:鈴木 亘(国立研究開発法人防災科学技術研究所)

11:00 〜 13:00

[STT38-P03] 光ケーブルを利用した京都国道9号沿いにおける超高密度地震観測

*宮澤 理稔1江本 賢太郎2中原 恒2辻 健3 (1.京都大学防災研究所、2.東北大学大学院理学研究科、3.九州大学工学研究院)

キーワード:DAS、陸上地震観測、地震波動場、M5.1能登半島の地震、M5.3, M4.9飛騨地方の地震

分布型音響センシング(Distributed Acoustic Sensing; DAS)は、光ファイバー通信ケーブルの伸縮測定に用いられる、近年実用化された技術である。ケーブル内で生じるレーザー光のレイリー散乱現象を利用し、ケーブル内の任意の場所におけるケージ長に対する位相変化量、即ち歪み速度に相当する物理量を測定することができる。地表や地下に敷設された光ケーブルを利用すれば、地震による弾性波動場を捉えることも可能であるため、単点毎にセンサーを設置する必要のあるこれまでの地震観測をチャネル数で凌駕する観測が可能である。これまでに、陸域や海域に敷設された光ケーブルを測定した研究結果が報告されているが、地震観測において実用化されるためには、長い期間の観測事例が欠かせない。
我々は2021年8月23日から9月24日にかけて、京都駅から京丹波町にかけての国道9号沿いに敷設された光ケーブルを測定した。空間サンプリングは5.1m、対応するチャネルは数9,788であり、また時間サンプリングは500spsである。この間、丹波地方で発生した0.4から3.2の地震が観測されたほか、M5.1の能登半島の地震(9/16)やM5.3とM4.9の飛騨の地震(9/19)等の200-300km離れた地震が観測された。M2.8の地震(9/18)については、ケーブル中間地点のほぼ真下の深さ11kmで発生しており、ケーブル全体にわたって地震動の伝播の様子が明瞭に観測されていた。P波、S波の到来のほかに、堆積層入射によるSP変換波、下部地殻の構造に起因すると考えられるS波の反射波が、空間的に認められた。このような観測は、地震波動場の理解や地下構造探査にとって有益である。

謝辞 近畿地方整備局京都国道事務所の光ファイバ通信ケーブルを利用したしました。