11:00 〜 13:00
[STT39-P02] PALSAR-2/ALOS-2による2021年12月5日インドネシア スメル火山噴火の泥流堆積範囲
キーワード:PALSAR-2、ALOS-2、スメル火山、火山、火山泥流、土石流
2021年12月4日にインドネシア、ジャワ島のスメル火山が噴火し,Rejari河(火山麓を南東に流下)を中心に火砕流が火口から約16kmまで達した。噴火前日からの豪雨に伴い火山噴出物と火砕流堆積物を主とする土石流・火山泥流もほぼ同時に同範囲にまで流下した。この結果,河川内で土砂採掘をしていた作業員らが犠牲になった他,地域のシンボリックな橋梁Perah橋(橋長約100mのコンクリートトラス形式)が倒壊するなど、多大な被害が生じた。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月6日午前1時51分(JST)に「だいち2号」(ALOS-2)搭載の合成開口レーダ「PALSAR-2」による緊急観測を行なった後,このデータと,噴火前の2019年10月28日1時51分(JST)に同じ軌道、同じ向き(北行、東向き照射)、同じ偏波モード(HH,HV)で撮影されたPALSAR-2のデータを用いて、偏波を用いた溶岩流または火砕流・火山泥流により変化した範囲抽出の結果を公表した [1]。
本稿では,JAXAが用いたものと同じ観測条件の2枚のPALSAR-2の画像を用いて,差分干渉SAR(InSAR)ツールRINC [2] およびRINC GUIにより火砕流や泥流の影響を受けた侵食及び堆積域を推定した。 12月8日から10日に八千代エンジニヤリング(株)が実施した現地調査写真と比較した。その結果,SAR画像は変動の大きな上流域が抽出できていることを定性的に評価できた。また,偏波解析による範囲 [1] および本稿における画像による泥流等の堆積範囲は,写真から推測できた下流域における0.6mの堆積深さにおいて明瞭な変化や干渉縞は確認できなかった。以上から、下流域における小さな変動量の地域の評価に課題がみられた。
引用文献
[1] JAXA ALOS利用推進研究プロジェクト,「だいち2号」によるインドネシア スメル火山噴火の観測結果について, https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/jp/library/disaster/dis_pal2_indonesia_eruption_20211206_j.htm, 2021 (accessed on 14th Feb. 2022)
[2] Ozawa, T., Fujita, E. and Ueda, H., Crustal deformation associated with the 2016 Kumamoto Earthquake and its effect on the magma system of Aso volcano, Earth Planets Space, Vol.68, No.186, doi: 10.1186/s40623-016-0563-5, 2016
謝辞
本研究は次の支援を受けた。記して謝意を表します。
・ALOS-2/PALSAR-2 による観測データは火山噴火予知連絡会衛星解析グループを通して JAXA から提供されたものです。データの所有権は JAXA にあります。
・本研究は東京大学地震研究所共同利用(2021-B-03)「高頻度SAR観測による地殻・地表変動研究」の援助をうけました。その助成により活動するPIXEL(the PALSAR Interferometry Consortium to Study our Evolving Land Surface)において提供していただいたRINCおよびRINC GUIを用いて解析しました。
・調査写真の利用にあたっては,調査を実施した八千代エンジニヤリング(株)および調整していただいた国土交通省砂防部桜井地震・火山砂防室長、山路課長補佐、道面係長にご協力いただきました。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月6日午前1時51分(JST)に「だいち2号」(ALOS-2)搭載の合成開口レーダ「PALSAR-2」による緊急観測を行なった後,このデータと,噴火前の2019年10月28日1時51分(JST)に同じ軌道、同じ向き(北行、東向き照射)、同じ偏波モード(HH,HV)で撮影されたPALSAR-2のデータを用いて、偏波を用いた溶岩流または火砕流・火山泥流により変化した範囲抽出の結果を公表した [1]。
本稿では,JAXAが用いたものと同じ観測条件の2枚のPALSAR-2の画像を用いて,差分干渉SAR(InSAR)ツールRINC [2] およびRINC GUIにより火砕流や泥流の影響を受けた侵食及び堆積域を推定した。 12月8日から10日に八千代エンジニヤリング(株)が実施した現地調査写真と比較した。その結果,SAR画像は変動の大きな上流域が抽出できていることを定性的に評価できた。また,偏波解析による範囲 [1] および本稿における画像による泥流等の堆積範囲は,写真から推測できた下流域における0.6mの堆積深さにおいて明瞭な変化や干渉縞は確認できなかった。以上から、下流域における小さな変動量の地域の評価に課題がみられた。
引用文献
[1] JAXA ALOS利用推進研究プロジェクト,「だいち2号」によるインドネシア スメル火山噴火の観測結果について, https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/jp/library/disaster/dis_pal2_indonesia_eruption_20211206_j.htm, 2021 (accessed on 14th Feb. 2022)
[2] Ozawa, T., Fujita, E. and Ueda, H., Crustal deformation associated with the 2016 Kumamoto Earthquake and its effect on the magma system of Aso volcano, Earth Planets Space, Vol.68, No.186, doi: 10.1186/s40623-016-0563-5, 2016
謝辞
本研究は次の支援を受けた。記して謝意を表します。
・ALOS-2/PALSAR-2 による観測データは火山噴火予知連絡会衛星解析グループを通して JAXA から提供されたものです。データの所有権は JAXA にあります。
・本研究は東京大学地震研究所共同利用(2021-B-03)「高頻度SAR観測による地殻・地表変動研究」の援助をうけました。その助成により活動するPIXEL(the PALSAR Interferometry Consortium to Study our Evolving Land Surface)において提供していただいたRINCおよびRINC GUIを用いて解析しました。
・調査写真の利用にあたっては,調査を実施した八千代エンジニヤリング(株)および調整していただいた国土交通省砂防部桜井地震・火山砂防室長、山路課長補佐、道面係長にご協力いただきました。