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[STT40-P06] 構造正則化を用いた地震波速度トモグラフィの性能検証
キーワード:地震波速度トモグラフィ、地下速度構造、構造正則化
本発表では、様々な構造正則化法を地震波速度トモグラフィ(以下、トモグラフィ)へ応用し、それらの性能について報告する。一般にトモグラフィにおいては震源で発生した地震波が観測点に伝わるまでの時間を入力とし、そこから地下の速度構造を出力する。本研究では、3次元グリッドポイントを用いて速度構造をモデリングする。トモグラフィの分野においては従来から、シンプルな最小二乗法(least-squares method)の他、モデルパラメータの変化に対する平方和を罰則項に置くことで変動を抑制する手法(damped least-square method)や、l2ノルムとラプラシアンを用いてグリッド間の速度変動を滑らかにする効果を持つLaplacian regularization等が広く用いられてきた。
また近年、 スパース構造正則化を応用することによって地震波速度の特徴をより精確に表現する研究が進んでいる。l1型の罰則項を用いたスパース正則化法は罰則対象を0に縮小する傾向を持ち、過剰適合の緩和と推定精度の獲得というトレードオフのバランスを取る上で有効に機能し、また少ないデータから精度良く推定を行えるという利点があることが知られている。例えば、隣接グリッドの速度差分に対するl1ノルムを罰則としたものや、上述のLaplacian regularizationにおいてl1ノルムを応用したものが挙げられる。スパース正則化の効果により変動の小さな部分は抑制され、大きな変動が強調される。更に、Yamanaka et al. (2022, under revision)は、深さ方向と水平方向で罰則を分け、「l2ノルムのl1和」に基づく罰則項によって、コンラッド速度不連続面等に起因する急峻な速度構造の変化を表現する手法を開発した。そこで本発表では、様々な速度構造を想定した数値実験を行い、これらの手法の性能、長短について議論する。
また近年、 スパース構造正則化を応用することによって地震波速度の特徴をより精確に表現する研究が進んでいる。l1型の罰則項を用いたスパース正則化法は罰則対象を0に縮小する傾向を持ち、過剰適合の緩和と推定精度の獲得というトレードオフのバランスを取る上で有効に機能し、また少ないデータから精度良く推定を行えるという利点があることが知られている。例えば、隣接グリッドの速度差分に対するl1ノルムを罰則としたものや、上述のLaplacian regularizationにおいてl1ノルムを応用したものが挙げられる。スパース正則化の効果により変動の小さな部分は抑制され、大きな変動が強調される。更に、Yamanaka et al. (2022, under revision)は、深さ方向と水平方向で罰則を分け、「l2ノルムのl1和」に基づく罰則項によって、コンラッド速度不連続面等に起因する急峻な速度構造の変化を表現する手法を開発した。そこで本発表では、様々な速度構造を想定した数値実験を行い、これらの手法の性能、長短について議論する。