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[SVC29-P02] 蔵王山1895年噴火噴出物中に含まれる黒曜岩質岩片について
キーワード:黒曜岩質岩片、火山ガラス、水蒸気噴火、マグマ水蒸気噴火、御釜、蔵王
蔵王山は、東日本弧火山フロントの中央部に位置する第四紀成層火山である。御釜からの噴火は約800年前より始まり、 最新のものは1894-87年に発生した。最新の噴火は水蒸気噴火-マグマ水蒸気噴火が繰り返された。その中のクライマックスの噴火である1895年噴火噴出物中には、長径2mに及ぶスコリア質の火山弾が含まれている。その後、さらに調査を進めた結果、黒曜岩質岩片が含まれることが明らかになった。本発表ではその特徴を報告する。
黒曜岩質岩片は、(1)単体型、(2)黒曜岩-安山岩混合型、(3)黒曜岩-スコリア混合型の3種類に分類できる。単体型は径約7cm以下であるが、混合型は径約30cm のものもある。混合型は、安山岩あるいはスコリアを核としてその周囲に黒曜岩が存在している。また、核の岩石が複数個存在し、それらの隙間を埋めるように黒曜岩が産している場合もある。その場合は隙間の伸長方向に沿うように気泡が伸長している傾向がある。核の岩石は部分的に破砕され黒曜石に取り込まれている場合もある。何れの型の場合も黒曜岩質岩片の外縁部には冷却割れ目が認められることもある。以上のような特徴から、これらの黒曜岩は噴火時に冷却固結したものと考えられる。また、発泡度は同じ個体中でも変化に富む。混合型では、核の岩石との境界部に高発泡部分が見られ、外縁部では気泡が大きく発達している場合が多い。単体型は無~高発泡のものがあるが、特に発泡度が高いものは単体型でのみ認められる。
核の安山岩及びスコリアの全岩化学組成はSiO2量にして56-57 wt% で、1895年噴火噴出物中のスコリア質火山弾の組成範囲内に入る。一方で、黒曜岩の全岩組成はSiO2量にして63-68 wt% であり、それらとは明瞭に異なる。スコリア質火山弾の石基化学組成はSiO2量は63 wt% 程度で黒曜岩の組成範囲内であるが、CaO量などが明らかに異なる。このことから、スコリア質火山弾をもたらしたマグマの斑晶が単純に分離した残りのメルトが黒曜岩の基のマグマになったとは考え難い。
黒曜岩のガラスは透明、淡褐色、褐色の3種類に分けられる。これらのガラスは上記3つの型の何れにも認められる。透明部は全ての試料に認められるが、淡褐色あるいは褐色部は試料によっては認められない場合もある。透明、淡褐色部には斜長石マイクロライトが含まれていることがあり、稀に微小な石英も含まれるが、褐色部分にはそれらは認められない。3種の何れにも微少な粒状の鉄チタン酸化鉱物が含まれる場合があり、それらが濃集している部分も認められる。また、淡褐色部は気泡の周囲に存在していることが多い。透明部と淡褐色部の境界は曲線的であり、その境界部には鉄チタン酸化鉱物が濃集していることが多い。褐色部は透明部の中に斑点状に分布している。透明、淡褐色、褐色では化学組成が異なっている。透明、淡褐色、褐色部分のSiO2・Al2O3量は各々、69-78 wt% ・11-18 wt% 、59-67 wt% ・19-32 wt% 、52-58 wt% ・31-39 wt% である。透明部の組成は組成変化図上で一連のトレンド上に乗る。また淡褐色部の一部は透明部の作るトレンド上に乗るが、外れるものもある。褐色部分は一部の組成図(K2O-SiO2など)で異なるトレンドを示す。透明部の組成トレンドは斜長石マイクロライトの晶出による残液組成の変化によって概ね説明可能である。また、淡褐色部のうち透明部の作るトレンドに乗らないものや褐色部の化学組成は特殊であるため、変質など2次的な過程も考慮する必要がある。
黒曜岩質岩片は、(1)単体型、(2)黒曜岩-安山岩混合型、(3)黒曜岩-スコリア混合型の3種類に分類できる。単体型は径約7cm以下であるが、混合型は径約30cm のものもある。混合型は、安山岩あるいはスコリアを核としてその周囲に黒曜岩が存在している。また、核の岩石が複数個存在し、それらの隙間を埋めるように黒曜岩が産している場合もある。その場合は隙間の伸長方向に沿うように気泡が伸長している傾向がある。核の岩石は部分的に破砕され黒曜石に取り込まれている場合もある。何れの型の場合も黒曜岩質岩片の外縁部には冷却割れ目が認められることもある。以上のような特徴から、これらの黒曜岩は噴火時に冷却固結したものと考えられる。また、発泡度は同じ個体中でも変化に富む。混合型では、核の岩石との境界部に高発泡部分が見られ、外縁部では気泡が大きく発達している場合が多い。単体型は無~高発泡のものがあるが、特に発泡度が高いものは単体型でのみ認められる。
核の安山岩及びスコリアの全岩化学組成はSiO2量にして56-57 wt% で、1895年噴火噴出物中のスコリア質火山弾の組成範囲内に入る。一方で、黒曜岩の全岩組成はSiO2量にして63-68 wt% であり、それらとは明瞭に異なる。スコリア質火山弾の石基化学組成はSiO2量は63 wt% 程度で黒曜岩の組成範囲内であるが、CaO量などが明らかに異なる。このことから、スコリア質火山弾をもたらしたマグマの斑晶が単純に分離した残りのメルトが黒曜岩の基のマグマになったとは考え難い。
黒曜岩のガラスは透明、淡褐色、褐色の3種類に分けられる。これらのガラスは上記3つの型の何れにも認められる。透明部は全ての試料に認められるが、淡褐色あるいは褐色部は試料によっては認められない場合もある。透明、淡褐色部には斜長石マイクロライトが含まれていることがあり、稀に微小な石英も含まれるが、褐色部分にはそれらは認められない。3種の何れにも微少な粒状の鉄チタン酸化鉱物が含まれる場合があり、それらが濃集している部分も認められる。また、淡褐色部は気泡の周囲に存在していることが多い。透明部と淡褐色部の境界は曲線的であり、その境界部には鉄チタン酸化鉱物が濃集していることが多い。褐色部は透明部の中に斑点状に分布している。透明、淡褐色、褐色では化学組成が異なっている。透明、淡褐色、褐色部分のSiO2・Al2O3量は各々、69-78 wt% ・11-18 wt% 、59-67 wt% ・19-32 wt% 、52-58 wt% ・31-39 wt% である。透明部の組成は組成変化図上で一連のトレンド上に乗る。また淡褐色部の一部は透明部の作るトレンド上に乗るが、外れるものもある。褐色部分は一部の組成図(K2O-SiO2など)で異なるトレンドを示す。透明部の組成トレンドは斜長石マイクロライトの晶出による残液組成の変化によって概ね説明可能である。また、淡褐色部のうち透明部の作るトレンドに乗らないものや褐色部の化学組成は特殊であるため、変質など2次的な過程も考慮する必要がある。