日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC30] 火山防災の基礎と応用

2022年5月27日(金) 13:45 〜 15:15 303 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、コンビーナ:石峯 康浩(山梨県富士山科学研究所)、千葉 達朗(アジア航測株式会社)、コンビーナ:宮城 洋介(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)、座長:石峯 康浩(山梨県富士山科学研究所)、千葉 達朗(アジア航測株式会社)

14:00 〜 14:15

[SVC30-02] 衛星による福徳岡ノ場の変色水と軽石の観測

*小川 万尋1高倉 有希1、中右 浩二1 (1.国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)

キーワード:人工衛星、リモートセンシング、軽石、変色水、火山

2021年8月13日に福徳岡ノ場で大規模な噴火が発生し、衛星により変色水や軽石を観測した。福徳岡ノ場は東京から南へ約1300km離れた海底火山であり、現地での常時観測が限られている。さらに広範囲に軽石が漂流したことで、船舶の航行や観光業、養殖業を含む漁業など社会に影響を及ぼした。そのような中で、人工衛星は火山活動の推移や軽石の分布を把握する手段として大変有効である。

光学の人工衛星「しきさい」により、今回の噴火以前から福徳岡ノ場周辺で変色水が確認されていた。変色水は火山活動により海水が変色する現象であり、火山活動の推移を反映すると考えられている。「しきさい」は約2日に1回の頻度、250mの分解能で観測でき、海の色を高精度に観測できる衛星である。8月13日の噴火以降8月下旬までは50km以上を超える変色水が発生していた。それ以降規模は縮小しているものの、現在でも継続して変色水が発生しており、規模や濃さなどを今後も把握していく必要がある。
また、この噴火では大量の軽石が発生し、沖縄県など太平洋岸の広い範囲に到達し、社会へ多大な影響を及ぼしている。そこで、現地対策の判断材料や将来予測の材料として、軽石の分布を把握することを試みた。可視画像、昼間の熱赤外線画像、疑似カラー画像を用いることで軽石を把握できることがわかり、衛星で判読した軽石の範囲をwebサイトで公開した。軽石については「しきさい」と欧州の衛星であるsentinel-2の両方のデータを活用することで、洋上の状態を確認できる範囲や頻度を増やし、判読を続けている。
本発表では、今回の福徳岡ノ場の火山活動に伴う変色水や軽石の衛星による観測結果やどのように活用されたかを紹介する。