日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC30] 火山防災の基礎と応用

2022年5月29日(日) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (16) (Ch.16)

コンビーナ:宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、コンビーナ:石峯 康浩(山梨県富士山科学研究所)、千葉 達朗(アジア航測株式会社)、コンビーナ:宮城 洋介(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)、座長:宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、石峯 康浩(山梨県富士山科学研究所)、千葉 達朗(アジア航測株式会社)、宮城 洋介(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)

11:00 〜 13:00

[SVC30-P04] JVDNシステムによるデジタル写真アーカイブの構築と提供

*河野 裕希1上田 英樹1中田 節也1 (1.国立研究開発法人 防災科学技術研究所)

キーワード:火山災害、写真、JVDN

火山現象の理解を深めるために、そして、その場にいなかった人と噴火現象や火山災害に対する認識を一致させるために写真を代表とする視覚的な情報の共有は必要不可欠である.火山噴火は多くの地域では低頻度であるため,火山噴火や火山災害を直接目撃する機会は少ない.しかし,写真を介して噴火現象や災害を視覚的に共有することはできる.これは、火山研究者間はもちろんのこと、火山研究者と非専門家間についても同様のことが言える.
写真データを共有するメリットは次のようなことが挙げられる:噴火活動や災害に関する写真データを一元的に集約することは多角的な情報を効率よく迅速に集約することにつながる.また写真データのアーカイブ・共有化は撮影者退職に伴うデータ散逸を防ぎデータを活用できる状況を維持できる.このように写真データを共有することは,これまでにあったデータ集約の困難さや資料保管の問題を解決することができる.
上記のような背景を踏まえ写真データを効果的に活用できることを目的とし,JVDNシステムには写真共有のための機能が追加された.これによりJVDNシステムユーザーは個人で撮影した写真データを自ら登録し,共有させることが可能である.Creative Commons Licenseを採用し,段階的な著作物許諾条件を示すことが可能である.写真の被写体に関する情報として,撮影者・撮影日時・場所についてはデータベースへの入力を必須としているため,データの品質を一定以上の水準で保つことができる.そして,データ共有範囲を選ぶことができ,共有範囲を制限する,あるいは完全に公開する,など共有したい相手に応じて使い分けることができる.また任意フォーマットファイル共有機能を用いた登録も可能であることから,写真の枚数が多数である場合はこちらの機能を使うことも検討できる.
我々は,最初の事例として,雲仙岳平成噴火に関する写真をJVDNシステムにアップロードした.JVDNシステムに登録されたこの火山災害事例は今後火山防災教育への利用のほか,これまでに明らかになっている事象に対して写真データ解析手法などの検証に利用できると考える.
 今後他の火山に関する写真が新たに追加されると,火山間の比較も含め,多方面において有効的活用がされると期待される.そして火山災害に関する写真共有により,火山研究者・社会科学者・画像解析研究者など分野横断的な連携強化にもつながると考える.

謝辞:九州大学の太田一也氏,清水洋氏,松島健氏,長崎大学の馬越孝道氏には写真データ収集にご尽力いただいた.この場を借りて感謝申し上げます.