11:00 〜 13:00
[SVC31-P09] Double-Differenceトモグラフィー法により推定された白山火山下の三次元地震波速度構造
キーワード:白山、マグマだまり
白山火山は歴史上何度も噴火を繰り返している活動的な火山であり、近年も群発的な地震活動が度々発生している。高橋ほか(2004)は白山火山に焦点を当てた地震波トモグラフィーを行い、深さ10-14 kmにマグマだまりと考えられる低速度かつ高Vp/Vsな領域を見出した。本研究では近年の走時データにDouble-Difference (DD)トモグラフィー法(Zhang and Thurber, 2003)を適用して白山火山周辺の3次元地震波速度構造を再推定し、白山火山下のマグマだまりに関する新たな情報を得ることを目的とする。
北緯34.15度-38.15度、東経134.75度-138.75度、深さ0-450 kmの領域を0.05度×0.05度×3 km グリッドに分割し、2010年から2020年の期間で発生したM2以上の地震のうち、観測点15点以上で験測データがある地震のうち、各グリッドで最大マグニチュードの地震を選択し、計通常地震3975個、低周波地震139個を解析に用いた。P波とS波の走時データはそれぞれ46602個,44084個、P波とS波の相対走時時間データ数はそれぞれ138455個、114741個である。連係震源決定(JHD) 法(Kissling et al., 1994)により一次元速度構造を決定し、この一次元速度構造を初期モデルとした。白山山頂を中心として白山周辺でグリッドを緯度経度方向にそれぞれ10 km, 深さ方向に4 km間隔で設置し、DDトモグラフィー法を実行した。
DDトモグラフィー法により得られた結果は、高橋ほか(2004)と同様に白山火山直下の深さ11 kmで低Vp、低Vsかつ高Vp/Vsの領域を示した。チェッカーボードテストとスパイクテストの結果から、この低Vp、低Vsかつ高Vp/Vs領域は信頼性があることを確認した。深さ11 kmでの低Vp、低Vsかつ高Vp/Vsの領域での岩石とメルトの平衡溶融を仮定すると、Takei(2002)のモデルから流体体積分率は約4%であると推定される。海野ほか(2018)では白山最新期の噴火プロセスについて、深さの異なる3段階のマグマの存在を推定しており、本研究で得られた深さ11 kmでの低Vp、低Vsかつ高Vp/Vsの領域はその中間部のマグマに相当すると考えられる。
謝辞:本研究には気象庁による験測データを使用させて頂きました。記して感謝いたします。
北緯34.15度-38.15度、東経134.75度-138.75度、深さ0-450 kmの領域を0.05度×0.05度×3 km グリッドに分割し、2010年から2020年の期間で発生したM2以上の地震のうち、観測点15点以上で験測データがある地震のうち、各グリッドで最大マグニチュードの地震を選択し、計通常地震3975個、低周波地震139個を解析に用いた。P波とS波の走時データはそれぞれ46602個,44084個、P波とS波の相対走時時間データ数はそれぞれ138455個、114741個である。連係震源決定(JHD) 法(Kissling et al., 1994)により一次元速度構造を決定し、この一次元速度構造を初期モデルとした。白山山頂を中心として白山周辺でグリッドを緯度経度方向にそれぞれ10 km, 深さ方向に4 km間隔で設置し、DDトモグラフィー法を実行した。
DDトモグラフィー法により得られた結果は、高橋ほか(2004)と同様に白山火山直下の深さ11 kmで低Vp、低Vsかつ高Vp/Vsの領域を示した。チェッカーボードテストとスパイクテストの結果から、この低Vp、低Vsかつ高Vp/Vs領域は信頼性があることを確認した。深さ11 kmでの低Vp、低Vsかつ高Vp/Vsの領域での岩石とメルトの平衡溶融を仮定すると、Takei(2002)のモデルから流体体積分率は約4%であると推定される。海野ほか(2018)では白山最新期の噴火プロセスについて、深さの異なる3段階のマグマの存在を推定しており、本研究で得られた深さ11 kmでの低Vp、低Vsかつ高Vp/Vsの領域はその中間部のマグマに相当すると考えられる。
謝辞:本研究には気象庁による験測データを使用させて頂きました。記して感謝いたします。