日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC32] 火山噴火のダイナミクスと素過程

2022年5月26日(木) 13:45 〜 15:15 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:大橋 正俊(東京大学地震研究所)、コンビーナ:並木 敦子(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻)、鈴木 雄治郎(東京大学地震研究所)、コンビーナ:新谷 直己(東北大学大学院理学研究科地学専攻地球惑星物質科学講座)、座長:大橋 正俊(九州大学 大学院理学研究院 地球惑星科学部門)、鈴木 雄治郎(東京大学地震研究所)

14:45 〜 15:00

[SVC32-04] 軌跡シミュレーションを用いた草津白根山2018年噴火の放出岩塊の運動特性の検討

*石峯 康浩1、坂井 亮仁2、横田 崇2 (1.山梨県富士山科学研究所、2.愛知工業大学)

キーワード:草津白根山、放出岩塊、数値シミュレーション

放出岩塊の基本的な挙動を理解するために実施した草津本白根山の2018年噴火に関する数値シミュレーションの結果を紹介する。我々は、火口から高速で放出された火山岩塊が重力加速度と空気抵抗の影響を受けながら運動する剛体粒子であると仮定して、大量の放出岩塊の飛跡をまとめて計算できるシミュレーションモデルを構築した。数値計算には常微分方程式の解法として広く利用されている4次のルンゲクッタ法を利用し、C言語を用いて独自の計算コードを作成した。空気抵抗の計算では、抵抗係数の近似表現についてClift et al. (1978)、Naumann(1933)、Bird(2002)がそれぞれ提唱した3種類の選択可能とした。比較的単純な条件の検証計算で十分な精度が得られることを確認した上で、より現実に近い条件での計算を実施した。具体的には、現地調査で落下位置やサイズのデータがそろっている放出岩塊187試料について、空気抵抗と地形の影響を含む条件でシミュレーションを実施し、火口から落下地点まで飛散可能な最小の噴出速度を見積もった。その結果、その噴出速度が最大となったのは火口から740mの距離まで飛散した岩塊であり、その放出角度は44°、速度は約88m/秒と見積もられた。その速度ですべての岩塊が放出されたと仮定すると、187試料中の174試料(すなわち約93%)の放出角度は仰角70度以上で、火口の真上に近い方向に放出されていたことが示唆された。