11:00 〜 13:00
[SVC34-P04] 干渉SAR時系列解析を用いた阿蘇山における地殻変動の監視(2016年4月~)
キーワード:合成開口レーダー、だいち2号、地殻変動、阿蘇火山
国土地理院では、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)の観測データを用いたSAR干渉解析を実施し、日本全国の地殻・地盤変動を監視している。従来のSAR干渉解析よりも地殻・地盤変動の時間的推移を高い精度で検出することを目的として、干渉SAR時系列解析システム「GSITSA」を開発した(小林ほか, 2018)。このシステムにより、2014年から蓄積されているALOS-2データを用いた干渉SAR時系列解析を、国内38活火山(2022年2月現在)を対象に実施している。干渉SAR時系列解析によっていくつかの火山において山頂部の局所的な地殻変動を検出しており(三木原ほか, 2021)、これまで明らかにされていなかった火山下浅部の構造や火山性流体の挙動の把握にも貢献している(Ichimura et al., 2021)。本発表では、阿蘇山において干渉SAR時系列解析により検出された地殻変動について報告する。
阿蘇山における干渉SAR時系列解析には、2016年4月18日以降にALOS-2の高分解能(3 m)モードで観測された南行・北行軌道のデータを使用した。GSITSAによる解析手法は以下のとおりである。時系列解析で使うSAR干渉画像の作成には、国土地理院の干渉SAR解析ソフトウェア(GSISAR)を利用する。画像の作成では、基線長100 m以内,観測期間730日以内のペアを選択した。マルチルック処理(ルック数8)を行い、最終的な1画素の分解能は約30 m とした。各干渉画像には、数値気象モデルを利用した対流圏遅延誤差低減処理(小林ほか, 2014)を適用する。得られた干渉画像をMCF法(Costantini, 1998)によりアンラップし、長波長補正を施した後、SBAS法(Berardino et al., 2002)で処理する。SBAS法に時間方向のスムージング処理を組み込み、各干渉画像の処理では十分低減できなかった誤差の影響をさらに抑えている。
干渉SAR時系列解析の結果、2016年4月以降、中央火口丘を含む広い範囲に衛星から遠ざかる変動が見られた。この領域の変動速度は、南行軌道で2 cm/y程度(最大値は中岳第一火口付近で2.5 cm/y)、北行軌道で1 cm/y 程度であった。南行軌道におけるこの領域の変位の時間変化を見ると、2019年の噴火前にあたる同年4月から9月には一時的に衛星に近づく変動が見られ、2020年6月以降は衛星から遠ざかる変動が停滞している。これらの変動には火山活動に起因する中央火口丘下の変動のほか、熊本地震による余効変動の影響が含まれている。そのため、余効変動を除去したときの中央火口丘下の変動源及びその体積変化について議論する。
謝辞:本研究で用いたALOS-2データは、火山噴火予知連絡会衛星解析グループ(火山WG)を通じて、及び「陸域観測技術衛星2号観測データ等の高度利用に関する協定」に基づいて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から提供を受けた。原初データの所有権はJAXAにある。
阿蘇山における干渉SAR時系列解析には、2016年4月18日以降にALOS-2の高分解能(3 m)モードで観測された南行・北行軌道のデータを使用した。GSITSAによる解析手法は以下のとおりである。時系列解析で使うSAR干渉画像の作成には、国土地理院の干渉SAR解析ソフトウェア(GSISAR)を利用する。画像の作成では、基線長100 m以内,観測期間730日以内のペアを選択した。マルチルック処理(ルック数8)を行い、最終的な1画素の分解能は約30 m とした。各干渉画像には、数値気象モデルを利用した対流圏遅延誤差低減処理(小林ほか, 2014)を適用する。得られた干渉画像をMCF法(Costantini, 1998)によりアンラップし、長波長補正を施した後、SBAS法(Berardino et al., 2002)で処理する。SBAS法に時間方向のスムージング処理を組み込み、各干渉画像の処理では十分低減できなかった誤差の影響をさらに抑えている。
干渉SAR時系列解析の結果、2016年4月以降、中央火口丘を含む広い範囲に衛星から遠ざかる変動が見られた。この領域の変動速度は、南行軌道で2 cm/y程度(最大値は中岳第一火口付近で2.5 cm/y)、北行軌道で1 cm/y 程度であった。南行軌道におけるこの領域の変位の時間変化を見ると、2019年の噴火前にあたる同年4月から9月には一時的に衛星に近づく変動が見られ、2020年6月以降は衛星から遠ざかる変動が停滞している。これらの変動には火山活動に起因する中央火口丘下の変動のほか、熊本地震による余効変動の影響が含まれている。そのため、余効変動を除去したときの中央火口丘下の変動源及びその体積変化について議論する。
謝辞:本研究で用いたALOS-2データは、火山噴火予知連絡会衛星解析グループ(火山WG)を通じて、及び「陸域観測技術衛星2号観測データ等の高度利用に関する協定」に基づいて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から提供を受けた。原初データの所有権はJAXAにある。