日本地球惑星科学連合2022年大会

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[U-07] コロナ禍での在外研究・留学

2022年5月30日(月) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (2) (Ch.02)

コンビーナ:北 佐枝子(建築研究所)、コンビーナ:奥脇 亮(筑波大学生命環境系山岳科学センター)、座長:北 佐枝子(建築研究所)、奥脇 亮(筑波大学生命環境系山岳科学センター)

11:00 〜 13:00

[U07-P01] コロナ禍中の米国バークレでの長期在外研究

*北 佐枝子1 (1.建築研究所)

キーワード:在外研究、UCバークレ、ダイバーシティ推進

国際共同研究を目的とした科研費・国際共同研究強化(A)を財源として使用し、主にサンフランシスコ市近郊のバークレ市にあるカリフォルニア大学バークレー校(UC バークレ)理学部地球惑星科学科にて2021年1月より約11ヶ月間滞在し、在外研究を行った。当初は2020年4月渡航開始予定だったが、コロナ禍の影響のため大学より2020年夏以降への渡航延期の要請を受けて渡航延期することにした。その後、渡航開始の機会を長らく伺っていたが、現地の友人から助言・協力ももらい、21年1月から渡航開始することにした。渡航前半は、U Cバークレ以外の複数の米国内大学及びカナダの研究機関への中・短期滞在は断念し、渡航前半はオンライン活動を主に活用した。渡航後半は、現地の友人や日本からの渡航仲間と情報共有を常に行いながら、刻々と変わる状況に合わせて様々な変更・工夫を繰り返し、加州内の大学・研究機関への訪問・滞在のみに絞った研究活動を行なった。今回の長期渡航の研究成果も含む研究結果についてまとめた内容は、Nature Springer社発行の国際誌Nature Communications誌にて帰国直前に掲載が採択され、帰国後に出版された。出版前のrevise稿の検討・作成などを米国渡航中に米国の共著者と効率的に行えたことは、論文の採択に対して良い効果をもたらしたように思われる。
 この数年、オンライン活動環境の整備が急速に進み、日米間はオンライン交流は日本からでも勿論行える。しかしながら、同じタイムゾーンに属しないために生じるオンライン交流機会のしにくさは、海外の研究者との研究交流・共同研究の遂行の大きな障壁となることを帰国後の今、とても実感している。
 特に日本では、帰国時の帰国者の隔離などが他国と比べて比較的長期に渡ること、情報不足により研究者・所属機関の判断・検討が行いにくいことが在外研究実施の課題になっていると思われる。研究者本人の希望が尊重されることが勿論望ましいが、検討材料となりうるコロナ禍中の渡航経験者による在外研究や渡航に関する前例報告・情報共有は、研究コミュニティのさらなる発展には大切になってくる。また、就学年齢に達した子供を伴う家族での渡航は、生活面での配慮や所属機関等との時間をかけた調整も必要であり、科研費の支弁規則についてもダイバーシティ推進の観点に立った議論が今後も進むことが望ましいように思われる。今回の私の渡航では、非常に長時間にわたった交渉・調整の結果として得られた所属機関等からの理解、職場内外の非常に多くの方々の情報提供・応援、滞在先のUCバークレによる子供の学童サービス・夏休み期間中のサマースクールサービス提供により、コロナ禍にもかかわらず研究活動を実施できたように思われる。
 本発表では、上記内容のほか、コロナ禍中の在外研究機会を最大化するため行った工夫なども合わせて報告させていただく。