11:08 〜 11:30
[U08-05] 地球惑星研究資料のアーカイブ化とキュレーションシステムの構築
キーワード:大型研究、地球惑星研究資料アーカイブ
2020年に日本学術会議において「オープンサイエンスの深化と推進に向けて」と題した提言がされました。そこでは、「研究成果をもたらした第1次物質的試料の永久保存体制の構築やそれらの背景となった第0次試料の選択的保存について、基本方針を確立する必要性」が説かれております。このように、研究試料のアーカイブ化は今や早急に取り組むべき課題となっています。そこで、日本地質学会では、日本鉱物科学会と共同で、大型研究マスタープラン2020に『地球惑星研究資料のアーカイブ化とキュレーションシステムの構築』というタイトルで、国内に地球惑星試料や資料を大規模かつ系統的に保管し、キュレーションをするシステムを構築することを申請しました。大型研究マスタープランは継続されないようではあるが、それに代わるプログラムの策定が今後行われる予定とのことなので、日本地質学会では来るべき大規模研究プログラムの申請に向けて、準備を進めています。そこで、本発表では大型研究マスタープラン2020に申請した『地球惑星研究資料のアーカイブ化とキュレーションシステムの構築』を説明し、次期大規模研究プログラムの申請に向けた準備状況を紹介します。
大型研究マスタープラン2020で申請した『地球惑星研究資料のアーカイブ化とキュレーションシステムの構築』の概要は以下の通りです。http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-24-t286-1.htmlでも見られますので、そちらもご確認ください。
『日本で近代科学が産声をあげて150年、日本の研究者は公的な研究費を用いて国内外から多くの岩石・化石試料や隕石、地質・地形情報等(以下、地球惑星研究資料または資料)を集めてきた。しかし、博物学が重要な位置付けを占める欧米と異なり、日本では研究資料のキュレーション施設の整備が大きく立ち遅れている。そのため、学術的価値の高い資料や科学的遺産にあたる資料でさえ維持するのが難しい。加えて各国の土地開発や紛争及び試料の採取・持出制限によって、新たな外国産資料の確保がますます困難になりつつある。そこでキュレーションがますます重要となる。既存資料の保管による科学的貢献の例として、近年のアポロ試料の再分析による月の水の存在の新証拠の発見やカンブリア爆発の概念を創出したバージェス頁岩の研究等がある。どちらも30年以上、公的機関に保管された試料の研究から始まった。さらに、近年の急速な研究技術の進歩を考えると、現在不可能とされる化石の超微量分析、古代ゲノム、地震時に形成された断層岩の超微小領域解析も将来可能となろう。本計画は、現在分散保管されている資料のデジタル・オープンアクセス化とアーカイブ化、それらを網羅する統合データベースの構築、そうしたデジタルデータと実試料の保管・提供を統括する『地球惑星研究資料アーカイブセンター』の新設を提案する。その体系を早急に構築することで、短期には現在日本の地球科学において国際競争力のある岩石・化石試料を基盤とした研究分野を支え、長期では未来の研究者との共同研究として研究技術が高度に発達した30~100年後を見据えた科学の発展に寄与する。また、古地形や地盤データのオープンアクセス化、資源試料の提供及び研究資料の博物館、初等教育機関及びマスメディアへの貸出の一括管理は日本の産業、国土開発、領土管理、生涯学習及び初等教育にも貢献することが期待される。』
現在、本申請内容がより広範な科学者コミュニティから支持される内容であり、かつ多くの科学者が切望しているものであることを示すために、日本鉱物科学会、地球環境史学会、日本地球化学会など他の学会からの賛同を得ることを進めています。また、地球惑星研究資料アーカイブセンター設立の準備委員会を立ち上げ、設立に向けた議論を関係する学会や機関の関係者と開始する。加えて、日本学術会議地球惑星科学委員会 地球・惑星圏分科会に学術資料共有化小委員会が設立された。両委員会には共通の委員も多くいることから、それらの委員会とともに、本計画の準備を進めている。
大型研究マスタープラン2020で申請した『地球惑星研究資料のアーカイブ化とキュレーションシステムの構築』の概要は以下の通りです。http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-24-t286-1.htmlでも見られますので、そちらもご確認ください。
『日本で近代科学が産声をあげて150年、日本の研究者は公的な研究費を用いて国内外から多くの岩石・化石試料や隕石、地質・地形情報等(以下、地球惑星研究資料または資料)を集めてきた。しかし、博物学が重要な位置付けを占める欧米と異なり、日本では研究資料のキュレーション施設の整備が大きく立ち遅れている。そのため、学術的価値の高い資料や科学的遺産にあたる資料でさえ維持するのが難しい。加えて各国の土地開発や紛争及び試料の採取・持出制限によって、新たな外国産資料の確保がますます困難になりつつある。そこでキュレーションがますます重要となる。既存資料の保管による科学的貢献の例として、近年のアポロ試料の再分析による月の水の存在の新証拠の発見やカンブリア爆発の概念を創出したバージェス頁岩の研究等がある。どちらも30年以上、公的機関に保管された試料の研究から始まった。さらに、近年の急速な研究技術の進歩を考えると、現在不可能とされる化石の超微量分析、古代ゲノム、地震時に形成された断層岩の超微小領域解析も将来可能となろう。本計画は、現在分散保管されている資料のデジタル・オープンアクセス化とアーカイブ化、それらを網羅する統合データベースの構築、そうしたデジタルデータと実試料の保管・提供を統括する『地球惑星研究資料アーカイブセンター』の新設を提案する。その体系を早急に構築することで、短期には現在日本の地球科学において国際競争力のある岩石・化石試料を基盤とした研究分野を支え、長期では未来の研究者との共同研究として研究技術が高度に発達した30~100年後を見据えた科学の発展に寄与する。また、古地形や地盤データのオープンアクセス化、資源試料の提供及び研究資料の博物館、初等教育機関及びマスメディアへの貸出の一括管理は日本の産業、国土開発、領土管理、生涯学習及び初等教育にも貢献することが期待される。』
現在、本申請内容がより広範な科学者コミュニティから支持される内容であり、かつ多くの科学者が切望しているものであることを示すために、日本鉱物科学会、地球環境史学会、日本地球化学会など他の学会からの賛同を得ることを進めています。また、地球惑星研究資料アーカイブセンター設立の準備委員会を立ち上げ、設立に向けた議論を関係する学会や機関の関係者と開始する。加えて、日本学術会議地球惑星科学委員会 地球・惑星圏分科会に学術資料共有化小委員会が設立された。両委員会には共通の委員も多くいることから、それらの委員会とともに、本計画の準備を進めている。