日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[U-08] 地球惑星科学の進むべき道11:地球惑星科学分野の大型研究計画

2022年5月23日(月) 13:45 〜 15:15 展示場特設会場 (2) (幕張メッセ国際展示場)

コンビーナ:中村 卓司(国立極地研究所)、コンビーナ:田近 英一(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、佐竹 健治(東京大学地震研究所)、コンビーナ:高橋 幸弘(北海道大学・大学院理学院・宇宙理学専攻)、座長:佐竹 健治(東京大学地震研究所)

14:08 〜 14:30

[U08-09] 航空機観測による気候・地球システム科学研究の推進

*高橋 暢宏1小池 真2 (1.名古屋大学 宇宙地球環境研究所、2.東京大学 理学系研究科)

キーワード:航空機観測、地球システム科学

本研究の目的は、わが国初となる地球観測専用の航空機を導入し、大気、海洋、植生、雪氷、固体地球などの全ての地球科学分野を横断した、気候・地球システム科学研究を飛躍的に推進することである。
地球温暖化・地球環境変化が急速に進行し、人間社会にも大きな影響を与えつつある。地球環境変化の理解と予測の鍵となる、温室効果気体の濃度やエアロゾル・雲粒の粒径・化学組成などのミクロ量を、広域かつ高度分布まで含めて測定することは、航空機観測でのみ可能である。本研究では人工衛星では観測できない100m以下のスケールのミクロ量の観測を体系的に実施し、ミクロ量・素過程の理解に基づいた気候・地球システムの理解という地球科学のパラダイムシフトを目指す。特に急激な環境変化が顕在化しつつも、航空機観測の空白域となっているアジアと北極に重点をおいた観測研究を展開する。
日本の観測技術は世界のトップレベルにある。本研究はこの日本の強みを活かし、長期的(10年間)かつ計画的な観測研究・機器開発・人材育成により、革新的な成果を実現する。そのために、地球観測専用の航空機を幅広い分野の研究者が共同利用できる運用体制を確立する。観測機は民間企業が保有するG-IVクラスのジェット機を専有利用(レンタル)する。また近年、急速に技術進歩している無人機の地球観測利用も、理工の融合研究により強力に推し進める。予算は10年間で155億円。防災・減災・SDGs・フューチャーアースへも貢献する。
実施体制としては、名古屋大学宇宙地球環境研究所の飛翔体観測推進センターが共同利用・運用の中核となる。また学術的に優れた研究を公平な立場から推進するために、地球科学諸分野の全国の研究者からなる研究推進委員会を設置する。さらにJAXAの航空技術部門が地球観測に資する飛行技術開発のために参画する。観測機の保有と運用は長年の実績のある民間企業に委託する。