日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[U-08] 地球惑星科学の進むべき道11:地球惑星科学分野の大型研究計画

2022年5月23日(月) 15:30 〜 17:00 展示場特設会場 (2) (幕張メッセ国際展示場)

コンビーナ:中村 卓司(国立極地研究所)、コンビーナ:田近 英一(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、佐竹 健治(東京大学地震研究所)、コンビーナ:高橋 幸弘(北海道大学・大学院理学院・宇宙理学専攻)、座長:佐竹 健治(東京大学地震研究所)

16:15 〜 16:38

[U08-14] 太陽地球系結合過程の研究基盤形成

*山本 衛1小川 泰信2塩川 和夫3吉川 顕正4 (1.京都大学生存圏研究所、2.国立極地研究所、3.名古屋大学宇宙地球環境研究所、4.九州大学大学院理学研究院/国際宇宙天気科学・教育センター)

キーワード:赤道MUレーダー、EISCAT_3Dレーダー、広域地上観測網、IUGONET

太陽から地球に流入するエネルギーに対する地球大気圏・電離圏・磁気圏の応答過程を知り、太陽地球系の結合過程を定量的に理解し、エネルギーと大気物質のグローバルな流れを解明する。放射エネルギーが最強となる赤道域、および高エネルギー粒子の流入が最大となる極域に、それぞれ国際連携で最新鋭の大型大気レーダーを建設する。広域地上観測網を整備し、衛星観測・モデルとも共同で研究を推進する。より具体的には、以下の3つの研究項目を設定して、大気中のエネルギーと物質の流れを解明する。
1.赤道ファウンテン:赤道を中心とする地球大気の上下結合
赤道では、積雲対流と呼ばれる大気擾乱が活発である。赤道域の全ての高度層で現れる、エネルギーと物質の流れを「赤道ファウンテン」として捉え、その変動を、観測で明らかにする。そのため赤道域でも大気変動が最も強くなるインドネシアの赤道直下に赤道MUレーダー(EMU: Equatorial MU Radar)を設置する。
2.極域の磁気圏・電離圏・大気圏へのエネルギー流入と応答過程
太陽風に起因するエネルギーによる極域特有の現象を解明する。太陽風のエネルギーは姿を変えて、下層の大気や低緯度方向に輸送される。極域における大気の宇宙空間への流出の解明にも取り組む。スカンジナビア北部にEISCAT_3Dレーダー(European Incoherent SCATter 3 Dimensional Radar)を建設する。
3.広域地上観測網によるグローバル結合過程
小型の観測機器を多点に設置して、赤道から極域を南北につなぐ広域の地上観測ネットワークを整備し、衛星観測、データベース、数値モデルと複合して、極と赤道を繋ぐ大気圏・電離圏・磁気圏のグローバルなエネルギーの流れを解明する。オープンデータの仕組(IUGONET)により観測データを国際的に共有する。

本計画はマスタープラン2014/2017/2020の重点大型研究計画であり文部科学省ロードマップ2014に掲載された。日本学術会議が公表した「地球惑星科学分野における科学・夢ロードマップ2020」においても、宇宙惑星科学と大気水圏科学の2分野で明確に位置付けられている。各研究機関からの概算要求も行われている。これまでの評価を踏まえ、引き続き大型研究計画に応募して行く。